【ボイスⅡ】ただ君のために (ページ39)

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解剖医がいる神奈川医科大学病院に到着すると、透くんもいた。
そこに、E3と一課も到着。

重「やつを確保しろ！」

透「！」

透くんは焦って院内に逃げた。

彰「透！」

『透くん！』

重「樋口待て！お前らにこの事件の捜査権はない」

彰「この事件には第三者が絡んでる」

重「第三者？誰だ」

彰「…」

重「…とにかく俺に任せろ」

『…』

彰「…A、透を任せていいか？」

『彰にぃは？』

彰「俺はやつに会う。必ず透の濡れ衣を晴らす」

『…わかった。気をつけて』
『室長、サポートお願いします！』

橘《了解》

彰にぃは解剖室に走り、私は室長のちからを借りて透くんを追った。

橘《樋口巡査部長、そこ左の通路。どこかに入りました》

一階エントランスから左の通路。扉がいくつかあった。

橘《階段を登る足音が》

『階段…』

どこかに入った、階段…。

『非常階段』

目に飛び込んだ非常階段のマークが付いた扉。
中に入り、階段をのぼると、頭を抱えて座り込む透くんの姿。

『…』

透「はぁ、は…」

『あの時、何を見たの…、防犯カメラ越しに室長が声を聞いたって…重藤班長のだった。…信じられない』

透「…誰かが来たような気がした」
　「見たような気がする。顔に火傷の跡があった重藤さん…。でも分からない。はっきりと覚えてないんだ」

その時、ジジッと無線が鳴った。

『…透くん、彰にぃから無線』

彰《透！重藤が生きてるなんて俺にも信じられない！もしそんなことがあるなら可能性は一つしか無い。遺体を重藤だと断定する。それができるのは担当解剖医だ！》
　《白塗り野郎は、解剖医、久遠京介！やつは姿を消した！》

島《こちら島田。久遠京介の自宅に殺されて間もないと思われる遺体を発見。このマンションの自治会長だと思います。舌を焼かれてます》

香《身元を特定できるものは一切残って無いです》

『…』

透「白塗りが消えたら、重藤班長が本当に生きていたのか、現場に居たのかさえ分からない」
　「それに、やったのは結局俺なのかもしれない」

『透くんはやってないっ』

透「俺は俺が分からないっ」

その時、ガチャっと非常階段の扉が開かれた音がした。
駆け上がって来たのは一課の人たち。
それに慌てて上に駆け上がる透くん。

重「確保しろ！マル被は拳銃所持、拳銃使用も考慮しろ！」

片「一課長！私は一般人の避難誘導を」

『彰にぃ！透くん、長い間薬を飲んでない！錯乱状態かもしれないっ』

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