【ボイスⅡ】ただ君のために (ページ38)

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透くんが立ち寄ったと思われるビジネスホテルに向かった。

「いらっしゃいませ」

『先程、この男性が話を聞きに来ませんでしたか？』

透くんの写真を見せる。

「はい、警察の方だと」

彰「彼はなんと？」

「宿泊者の中で、午前1時くらいに出ていった人物はいないかって、確かにその時間、チェックアウトしたお客様がいらっしゃいます」

と、宿泊者名簿を見せてくれた。

彰「透が探していた人物は、株式会社アシスト、加藤武夫。戸籍を偽造するくらいだ。偽名の可能性が高い」

『他には何か聞かれましたか？』

「この人物のことで覚えてることは無いかって、帽子を被ってマスクをしてたのではっきりとは…ただ、顔に火傷のような痕がありました」

『…すみません、あの防犯カメラの映像見せてもらえますか？』

「はい」

フロントの隅にあった防カメの映像を見せてもらうと、その時間に写っていたのは黒い帽子を被った人物。

『透くん、この人のことありえないって言ったんだ』

彰「え？」

『さっき、言ってた…。意識が亡くなる直前にボイスレコーダーを録音した。自分が何か言ってたんだって…それが、ありえないって』

橘《…ありえない、》

『…室長？』

橘《…重藤雄二》

彰「重藤？」

橘《亡くなった、重藤班長の声です》
　《声が反響して…うまく聞き取れません、私の聞き間違いのはず…！》

『ありえない…』

彰「死んだはずの人間が生きているかも知れない。夢かもしれない。そんなこと誰に話しても信じてもらえない」

『だから、透くんはひとりで…第三者が本当に重藤班長か調べてる』

橘《しかし班長っ》

彰「重藤が死んだのは映像を通してだ。しかもあの時、はっきりと顔は写ってなかった」

橘《遺体を確認しました！》

彰「顔が焼かれていた！」

『もし、あの時の遺体が重藤班長じゃなかったら、解剖所見が改ざんされていたってことになる』

彰「そんなことができるのは、あいつしかいない」
　「透はそれを確かめようとしてるんだ」

橘《万が一、重藤班長がいきてるなら、なぜこんな行動を…》

彰「分からない…だから見極めるんだ俺たちで！」
　「足立、透の家に行ってくれ！花丸の箱が第三者が持ち込んだものなら、記録に残ってるかも知れない」

足《記録？》

彰「透はレコーダーを持っていた。意識が途切れた時のために、自宅でも何かしらの記録を撮っていたはずだ！」

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