【ボイスⅡ】ただ君のために (ページ37)

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『透くん！』

透「っ…」

聞こえたのか、止まってくれた。
この距離で叫びながら話すのも変だ。
携帯の電源を入れるよう合図すると、電話をかけた。

透「…」

『…透くん、記憶が飛んだんだね。何が起こったか、わからないんでしょ』

透「…俺は本部長を許せない、そう思った。本部長と揉み合ったたこと、銃の音しか覚えてない。俺は人殺しかもしれない」

『透くんはやってない。だから調べてるんでしょ？みんな信じてる』
『透くんが追ってる第三者って誰なの？』

透「意識を失う前、レコーダーを押した。記憶を失ってる間に俺は目覚めたのか、わけのわかんないことつぶやいてた」
　「ありえない…頭がおかしくなる。あと2錠あった薬だって気づくとなかった！」

『…』

透「わかんない…俺が見てるのが現実なのかどうか、、殺したのかも知れない、俺が」
　「もしやってたら…Aにも、兄貴にも顔向けできない」

『…』

透「…ごめん、A」

『…透、』

透「俺、自分のことでいっぱいで…このままじゃ、Aの傍にいれない。守ることも、支えることも…幸せにもできない」

『っ……、私じゃ、だめ？』

透「…」

『私が透くんを守る。私が透くんを支える。私が透くんを幸せにする。…それじゃぁ、だめなの？』

たまらず、俯き涙を流す。

透「っ…」

『傍にいたいよ…』

透「…ごめん、A」
　「好きだよ」

ブツッと通話が切れた。

『！』

顔を上げると、彼はもういなかった。

『…透くん、』

走って透くんがいた橋に向かう中、彰にぃたちと合流した。
橋に向かうが、どこにも姿が見えなかった。

『…透くんが歩いてきた方向にビジネスホテルがあります。調べてるはず』

彰「よし、確認するぞ」

足「俺達は石川を追います」

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