【ボイスⅡ】ただ君のために (ページ21)

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足《こちら足立、別館ではまだ未発見》

ふと通路の向こう側を歩く看護師を見つける。
腕時計を見ながらフラフラと歩いていた。

『…』

近くのナースステーションで対応するナースに視線を向ける。

『…すみません。こちらの看護師の方は全員ナースウォッチを使ってますか？』

「はい」

彰「どうした？」

『こちら樋口。3階の渡り廊下でマルヒらしき人物を見ました。マルヒはナースウォッチではなく普通の腕時計をしてます！』

3階を探し回るが、時計だけでは見つからない。

彰「何か他に見なかったか！？」

『……靴…、ナースシューズじゃなくて踵のあるだった』

彰「橘、踵のある靴の音だ」

橘《了解》
　《10m先、右方向》

彰「…見舞い客だ」

橘《15m先、左方向》

彰「…違う」

橘《不安定な足取りが…非常階段に》

山《今、病院から連絡が。前薗の様態は安定。ただ、刺された藤井さんは出血性ショックで亡くなられたそうです》

急いで非常階段に向かう。

橘《かなり不安定な足取りで、いま屋上に》
　《上野早苗さんが屋上から飛び降りる可能性あり》

急いで階段を駆け上がり屋上にでると、柵を乗り越えている上野早苗。

彰「マルヒを発見」

『…』

「…来ないで！」

小「待ってください！前薗が何をやったのか全て分かってます！」

小松さんが心情を話す。
上野は耳を傾けてくれた。

彰「あなた達の苦しみは、我々が受け止めます」

『…死ぬ覚悟があるんだったら、娘さんのために生きて戦ってください』

そこまで言うと、上野は落ち着きを取り戻す。

橘《呼吸が安定しました》

彰にぃが彼女を引き上げ手錠をかけた。

小「上野早苗を無事、確保しました」

『…』

彰にぃたちにあとを任せ、病院内を駆け回った。

透くんと、途中から無線が繋がらない様子だった。

すると、一室からフラフラと出てくる透くんを見つけた。

『透くん』

透「A…、今の状況は？」

『…どうしてたの？』

透「はやく、マルヒの確保に」

『事件なら解決したよ』

透「え…」

『室長が無線が繋がらないって』

透「あ…調子が悪くて。終わったんならよかった」

『ぁ…』

明らかに動揺した様子だった。

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