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しばらくゲームを続けていく。
負けることもあったけど、今のチップは掛け金の5倍である。
ショッピさんのおかげである。

『そろそろ離れましょう。右の通路から階段を降りてください。このフロアにはいないみたいです』

ゾムの方にも連絡がいったみたいで、視線が重なる。
ゾムはやめることを告げると、終始笑顔を崩すことのなかったディーラーにチップを渡し席を立った。ギャラリーも散っていく。私もあとに続く。
ショッピさんの指示通りに階段を下る。その先にある、ガラス張りのレストランに入る。

「ねえ、こんなにチップ増えちゃったよ」
「……流石やな」

向かい合う形で座る。軽食は無料なようで、私はカフェオレ、ゾムはコーヒーを取った。

不審に思われないように話しかけているのだが、ゾムはじっくりと辺りを観察していて少し露骨だ。

でも、ゾムは私とは違ってプロフェッショナルなのだ。私が口を出す必要は無い……

「……見つけた」
「え」
「ポーカーの……」

ゾムの視線は私の左後ろを捉えている。緊張が走る。

ここから先は入れ替わり、ゾムが私の姿で標的に近づく。私はゾムの姿でボロが出ないようにスロットでもして周りの動向をうかがい、ゾムからの連絡を待つだけ。

いつもの薬品を混ぜる。

「……」
「……ん……」

目を開ける。この痛みにはもう慣れた。何回も入れ替わると、どんどん痛みは和らぐようだ。

目の前の私が目を開ける。

「……もう、ゾムなんて知らないわ!」
「へ」
「勝手にしなさいよ!」

私の姿のゾムが私をビンタして立ち上がる。私はそのままレストランを出ていく私の姿のゾムを見ていた。

叩かれた左頬をさすり、納得する。
ああ、そういうことか。喧嘩したことにするのね。
そりゃゾムが連れてきた女なんてビビって誰も手を出せないわ。

『ゾムさん、いや……Aさんはその場で待機で』

私に出来ることは待っていることだけだ。レストランの窓からカジノを見つめる。
……あそこか。沢山の女性を引き連れている男。写真通りの風貌だ。この心配が杞憂に終わるといいけど……。

「ゾム?」

聞き覚えのある声に振り向く。頬に滴る冷や汗。タバコ特有の匂いをまとっているこの男。

「やっぱりゾムやん!カジノなんかに行かへんって言うてたの、気が変わったん?」
「……大先生」

最悪だ。最も会いたくない人に会ってしまった。

*→←*


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  • 恋愛運: ★★★☆☆
  • 健康運: ★★★★★
  • 全体運: ★★★☆☆


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作品ジャンル:SF
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みやこ - 貴方様が紡がれるストーリーやキャラの描写、言葉選び全てがあまりにも素晴らしく、飲まれるように一気に拝読させていただきました。zmと夢主の関係性やこの後の展開がどうなるのか思いを馳せながら続編が開く時が来るのをとても楽しみにしております。ご自愛ください。 (10月15日 2時) (レス) @page50 id: 2340b31398 (このIDを非表示/違反報告)
- もっと早くに見つけてればよかった…!!!めちゃめちゃ好きです、続編開くの待ってます…! (8月25日 14時) (レス) @page50 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
暇人パーリナイ(プロフ) - とても素晴らしい作品で愛読させていただいてます、続編が開放される時を楽しみに日々過ごしています。更新頑張ってください。 (2020年10月11日 22時) (レス) id: 6c369c24d6 (このIDを非表示/違反報告)
mailnoadodapo(プロフ) - 何かもう最高すぎてやばい……やばい!!←大事なことなので2回言いました、貴方の作品初めて読んだんですけど、まじで好きです (*´ω`*)これからも推させていただきますね (2020年7月8日 4時) (レス) id: 71f963574a (このIDを非表示/違反報告)
おじ - 久しぶりの更新とても嬉しいです!疲れない程度に更新頑張ってください! (2020年1月5日 20時) (レス) id: 9cde916c26 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かよ | 作成日時:2019年5月16日 0時

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