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シャオロンは暫く呆然としていたが、その後さっき自分がしようとしていた事を思い出したのか、青ざめ口を抑えた。
「うわ……すごい大事なものを失った気がするわ」
「失ってはないからな。キスしてないからな。お前のせいやからな」
「いや、ゾムのせいでしょ」
私は給湯ポットの中身を捨てる。そこで気づく。この薬は自分のDNAを混ぜて、惚れさせたい相手に飲ませることで効果を発揮するのだが……。
おそらくゾムは私が出ていった時に忍び込んでまぜたのだろう。くられ先生がいないことを知っているので、私に飲ませるつもりだったのだろう。これが何を意味するか。
「いやいや」と首を左右に振る。またいつもみたいにおちょくられてるだけだ。きっと私の反応を見て楽しんでいるだけ。
「はぁ……なんで俺あんなことしたんだろ……ゾムが好きとか信じらんねえ。流石に男には興味ねぇよ……」と、シャオロンは髪を掻きむしりながら言う。
さっきまでゾムを襲おうとしていた人のセリフとは思えない。どうやらこの薬は効果がきれると一気に冷めるようだ。メモしておかなければ。
落胆しているシャオロンの縄を解いてやる。前にもこんなことしたことあるな、と思う。
しょんぼりとしているゾムの横でシャオロンに色々質問し、記録をとる。
「……ほうほう、自分が自分でなくなるような感じ、と。……でもこれって根本的解決にはなってませんよね?」
私は字で埋まったノートをパタン、と閉じる。
「おん……ここまで迷惑かけちまって申し訳ないけど……俺、ミレイとの事にケリつけたいわ」
「やっぱり惚れ薬はハードル高すぎましたかね〜。実は、シャオロン様に適した薬がちょうどあるんですよ!」
私はシャオロンに背を向けビニール袋を漁り、手のひらに載せて見せた。
「……錠剤?」
「その名も【勇気が出る薬】です!緊張している時にこれを食べると勇気が出てなんでも出来ちゃいますよ!」
シャオロンは私の手のひらから指でそれをつまみ、まじまじと見つめる。ゾムは何かを喋りたそうにじーっと見ている。
「後悔したくないんでしょう。大丈夫ですよ!シャオロン様は真っ直ぐで素敵な方ですから。誰かさんと違って」
「誰かさんって誰やろな。少なくとも俺ではないな」とゾムは言う。
「……俺、やってみるわ。本当の気持ち、伝えてくる」
シャオロンは私に感謝を伝えると、部屋を後にした。続けてゾムが出ていったが、私はゾムに変なことをしないように念押しした。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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みやこ - 貴方様が紡がれるストーリーやキャラの描写、言葉選び全てがあまりにも素晴らしく、飲まれるように一気に拝読させていただきました。zmと夢主の関係性やこの後の展開がどうなるのか思いを馳せながら続編が開く時が来るのをとても楽しみにしております。ご自愛ください。 (10月15日 2時) (レス) @page50 id: 2340b31398 (このIDを非表示/違反報告)
ぬ - もっと早くに見つけてればよかった…!!!めちゃめちゃ好きです、続編開くの待ってます…! (8月25日 14時) (レス) @page50 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
暇人パーリナイ(プロフ) - とても素晴らしい作品で愛読させていただいてます、続編が開放される時を楽しみに日々過ごしています。更新頑張ってください。 (2020年10月11日 22時) (レス) id: 6c369c24d6 (このIDを非表示/違反報告)
mailnoadodapo(プロフ) - 何かもう最高すぎてやばい……やばい!!←大事なことなので2回言いました、貴方の作品初めて読んだんですけど、まじで好きです (*´ω`*)これからも推させていただきますね (2020年7月8日 4時) (レス) id: 71f963574a (このIDを非表示/違反報告)
おじ - 久しぶりの更新とても嬉しいです!疲れない程度に更新頑張ってください! (2020年1月5日 20時) (レス) id: 9cde916c26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かよ | 作成日時:2019年5月16日 0時