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「そこで提案なんだけどさ〜今ちょうどいい仕事があるんだよね〜」
くられ先生はペンを右手てクルクル回しながら私に言う。その言い方になんだか嫌な予感がする。くられ先生はペンを私に向けてピシッと止めた。
「私の助手にならない?」
「え?助手……ですか?」
「そ〜そ〜。君結構よく観察してるし、分析する力にも長けてて優秀だと思うよ。それに、私ここを空けることが結構あるからさ、丁度その時にここ管理してくれる人が欲しかったんだよ」
「この前みたいなことが起きないようにね」と、視線をちらりとゾムに向ける。ゾムは申し訳なさそうに眉を下げた。
「でも。私やっぱりこういうの向いてないと思います。だって私……」
「毎月の報酬はこれくらいかな〜」とくられ先生は前と同じように数字か書かれた紙を私の前に掲げた。
「……!?」
その0の数に驚愕する。毎月この収入があるとしたら借金は2年足らずで返済できる……?
「まぁ、働き次第にもよるけどね〜。それに、君兵器課に入る前は医療課を希望してたんじゃないの?」
なんでそれを、と私が聞き返すと、くられ先生は「科学の力かな〜?」ととぼけるばかりだ。
「君の好きな研究もできる。そして高収入。とてもいい職場だと思わないかい?」
「でも……」
そこで、私は唐突に言葉に詰まる。
でも……なに?よく考えたら断る理由がないことに気がつく。
ならどうして私は受け入れたくないの?どうして断る理由を探してるの?
そうか。私は、恐れているのか。私はこの場所が心地いいと感じているんだ。それが、壊れるのが怖いんだ。
前の職場で私はみんなに好かれていたわけじゃない、けど大切な友人たちはいた。仕事も最初は慣れるまでが大変だったけど、とても充実してた。
けど、あの日──辞職勧告の日からその友人たちは目を合わせてくれなくなり、みんなから貰った贈り物を飾っていた私の机も無くなっていた。
私は壊れてしまうのが怖いのか。それくらいなら最初から大事にしなければいい、と思っているのだ。
突然、ゾムが私の肩を2回軽く叩いた。私は振り向くとゾムは人差し指で私の頬をつついた。
「……なに」
「心配しなくても大丈夫やで!くられ先生が何かしたら俺が代わりにやったるから」
「……え?」
「くられ先生と2人きりで心配やんな?俺がちょくちょく来て見張ったるわ!」
ゾムは両手で首を切るジェスチャーをする。私はそれを見てクスリと笑ってしまった。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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みやこ - 貴方様が紡がれるストーリーやキャラの描写、言葉選び全てがあまりにも素晴らしく、飲まれるように一気に拝読させていただきました。zmと夢主の関係性やこの後の展開がどうなるのか思いを馳せながら続編が開く時が来るのをとても楽しみにしております。ご自愛ください。 (10月15日 2時) (レス) @page50 id: 2340b31398 (このIDを非表示/違反報告)
ぬ - もっと早くに見つけてればよかった…!!!めちゃめちゃ好きです、続編開くの待ってます…! (8月25日 14時) (レス) @page50 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
暇人パーリナイ(プロフ) - とても素晴らしい作品で愛読させていただいてます、続編が開放される時を楽しみに日々過ごしています。更新頑張ってください。 (2020年10月11日 22時) (レス) id: 6c369c24d6 (このIDを非表示/違反報告)
mailnoadodapo(プロフ) - 何かもう最高すぎてやばい……やばい!!←大事なことなので2回言いました、貴方の作品初めて読んだんですけど、まじで好きです (*´ω`*)これからも推させていただきますね (2020年7月8日 4時) (レス) id: 71f963574a (このIDを非表示/違反報告)
おじ - 久しぶりの更新とても嬉しいです!疲れない程度に更新頑張ってください! (2020年1月5日 20時) (レス) id: 9cde916c26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かよ | 作成日時:2019年5月16日 0時