紫と菫色Ⅱ (ページ21)

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対極の羨望ページ21

私たちが買い物を終え、かるちがお手洗いへ席を立った所で、しるこから連絡が来た。

『あ、しることはこたろーが戻って来るってよ』

い「あれ、行く時は別々じゃなかった？」

『何だかんだで仲良いのよね〜、あの兄弟』

普段あれだけ兄を嫌がってるはこたろーだって、いざと言う時は本気で心配するんだから微笑ましい。

しるこは言うまでもないけど。

い「Aちゃんだってしるこちゃん達と仲良いやん」

『あはは、確かに悪くはないかな』

い「いーなー、羨ましいよ」

『え、何で？BinTRoLLだって仲良いじゃん』

普段の動画はもちろんのこと、別の県に住んでいながら直接会いに行くというのは仲がいい証拠だろう。

私は今でこそしるこの代わりでBinTRoLLに入っているけど、この期間が終わればそれも終わる。

私が入ることの出来ないBinTRoLLとしての仲の良さが、正直羨ましかった。

い「あー、そっちじゃない。逆だよ」

『え？』

いっちーが苦笑いでこちらを見る。

逆？逆ってどういうことだ？

い「俺が羨ましいのはしるこちゃんと仲がいい事じゃなくて、Aちゃんと仲がいい事よ」

つまり…私と仲良くしてるしるこの事が羨ましいってこと？

『じゃあ今の私達は仲良くないの？』

私といっちーが出会ってから今日までの期間が、しるこより短い事は確かだけど…

仲がいいつもりだった私と、いっちーの考えは違ったのだろうか。

私の言葉を聞いて、いっちーの顔が微妙な表情になる。

的外れなことを言ってしまったのかもしれないと不安になった。

い「んー、ちょっと足りないかなっ」

言いながら微笑むいっちーにかけようとした言葉は、戻って来たしることはこたろーにより遮られた。

し「お待たせ〜！」

は「お待たせしました。あれ、Aそんなベルトしてたっけ？」

し「え！もしかしていちはちとお揃いじゃない？！」

『やっぱりバレたか』

い「気づくの早くない？w」

お揃いで騒いでるけど、2人の荷物の多さの方が気になるんだよなぁ

なんて思ってると、いいタイミングでかるちが戻って来た。

か「お、全員揃ってる。お待たせしました」

し「待って、かるてっちもお揃い？！」

か「まぁね」

得意そうなかるちが面白くて、いっちーと顔を見合わせて笑った。

今度いっちーをゲームにでも誘おう。