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187戦 ページ40

ピリついた空気を変えたのはアイディだった
アイディは隣に座るマチの服の裾を引っ張って視線を自分に移させた


マチ
「アイディ…」



空気に耐えきれなかったのか夜天の書を閉じてマチを見つめていた



マチ
「…分かったよ」



アイディに負けたのかマチは一息ついてノブナガへの怒りを抑えた
その様子を見ていたノブナガも表情が戻っていた



ノブナガ
「負けたな…ここはルールにのっとって決めようぜ。生かして連れてくか、殺して連れてくか」




マチ
「いいだろ」



マチは懐にしまっていたコインを指で弾く。マチの手元に戻ってきたと同時に片手でコインを隠す



ノブナガ
「表」




マチ
「裏」










コイントスを終えてすぐにその場を離れた3人。それは3人を見ていた者たちから離れるためでもあった



マチ
「尾けられてる?」



ノブナガ
「おそらく…としか言えねぇがな。たいした奴等だ、シッポをつかませねぇ。カンペキな絶だ」




マチ
「………かなりの使い手だね」




しかしその人物は3人の後をつけていた。つけていることはすぐに分かったが絶をしているのかどこにいるのかまでは察知出来なかった


そんな中、アイディは不意に言葉を発した



アイディ
「…殺しちゃうの?」




ずっと黙っていたアイディの一言に驚き立ち止まりアイディを見る2人
アイディは夜天の書を抱きしめる力が強くなっているのにはすぐに分かった

アイディの体が震えていることに気付いたマチは落ち着かせるためにアイディの前に立ち額と額を合わせ、抱きしめ、帽子越しだが頭を撫でた



マチ
「アイディが嫌がることは絶対しないよ…」




アイディ
「ごめん…わがまま…言っちゃった」




ノブナガ
「ま、ここで俺らが聖王様傷付けたらクーナは勿論…他の団員にも何されるか分かんねぇしな」




自分の身の安全しか心配していないノブナガを睨みつけるマチ
しかしノブナガは言葉を足すように話した



ノブナガ
「…できるだけ加減はしてみるさ」




ノブナガは頭を搔きながら2人をおいて先へと進んでいく
その行動が自分の顔を隠すためのものだと察したマチは思わずわらった
まったく理解できなかったアイディは首を傾げた



マチ
「行こっか」



アイディ
「うん…」




アイディはマチの手を握り、並んでノブナガを追いかけるように歩き始めた
しかしアイディの中にはひとつの疑問が残っていた




アイディ
(私…なんであんなこと言ったんだろう…)

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作者名:白兎@ロップ | 作成日時:2020年5月23日 21時

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