151戦 ページ4
飛行船に乗り約4日_________
クーナ
「後は道なりに進めば村まですぐですよ」
三人の見る先にあるのは森の入口
アイディは約5年ぶりに見る森の入口にどこか懐かしさを覚える
1度深呼吸をしてアイディは先頭を歩き森の中へと入る
クーナ
「魔獣…は…今の時期は大人しいようですね」
マチ
「なら好都合。さっさと行こう…」
魔獣がいないと分かりながらも辺りを警戒しながら先へ進んでいく
アイディ
「昔は盗賊がよく居たのにね…緋の眼がない今じゃ、いないよね」
アイディは巫女をやっていた3歳から魔獣や盗賊から村人を守っていた
今となっては昔の話。あの時、小さい体で数百人の村人を1人で血と汗と涙を流しながら戦ったのはもう昔の話
クーナ
「もうたどり着きますよ」
クーナがそう確証を得たのは、目の前にある鈴
これは巫女に侵入者を知らせるためのものであり、アイディにとっては懐かしいもの
アイディ
「…見えた」
目の前に見えたのは村の跡地
5年前の人々の笑顔や声、仕事をする音、笑う子供の声、自然の音、それらはもう聞こえない
ボロボロになった家、辺りに散らばる材木や藁、地面には固くこびりついた血液が赤から黒に変色していた
クーナ
「アイディ、先に神社へ向かってください。私たちは他に何かないか探しますので」
アイディ
「あ…うん」
クーナにそう言われたアイディは足をゆっくり動かして神社へと向かった
アイディの後ろには入口で立ち止まり手を合わせるクーナとマチがいた
アイディ
(やっぱり…実際に見ると結構辛いなぁ…)
辺りを見回しながら進んでいく
家の割れた窓ガラスからは室内で殺された人々の亡骸
外にも横たわっている
どの亡骸にも眼はなかった
＊
アイディ
「久しぶり…」
たどり着いた神社。村人の家から少し離れた場所にあるためにボロボロにはなっていなかった
中も綺麗なままで残っていたが、薄暗いため壁に沿って歩いていく
神社の奥にあるひとつの扉
アイディはゆっくりとその扉を開く。そこにあったのは地下へと続く扉
アイディが最後にここへ来たのも5年前。昔のアイディは暇な時はよく地下に篭っては地下の書庫に入り浸っていた
アイディ
「…なにも変わってない」
アイディは本を懐かしみながらも更に奥へと進んでいく。何を探しているのかも分からないのに自然と足が進む
気づいた時には1冊の本だけが置かれた机の前に立っていた
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作者名：白兎＠ロップ | 作成日時：2020年5月23日 21時
