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5話 ページ7

「……メール?」

表の仕事で人に会った後、予定を確認しようと鞄に手を入れたところでうっすらと光っている液晶が目に入った。

現在、使い捨てを含めて携帯電話は四つ保持している。

電話ではないので変に気を張る必要はないが、真っ先に確認したのはやはりどの組織のものであるか、だった。


――真っ黒


さて、今度は一体どんな面倒ごとなのだろうかと思いながら素早くロックを解除する。

メールで送られてくるくらいなのだから、そこそこ緊急性があって、それでいて内容としては結構どうでもいいことなのだろう。

経験則から行くと、八割は間違いなくそうだ。

たまに何を思ったかメールから始まる長ったらしい指示へとつながる指示などもあったりして頭が痛くなることもある。

普通の人間から言わせれば今の自分の状況もだいぶ頭が痛くなるらしいので、その自分が頭を痛めるレベルと思ってくれればいいと思う。


「……見舞い?」


なんだ、やけに簡単な指示。

組織の指示として珍しいところを上げるとするなら、見舞った相手を誘拐するわけでも殺すわけでもないというところか。

もしかして暗号でそういう指示を出しておいて気づかなかった自分を後で問い詰めて立場を奪おうというものなのでは、と思って何度かメールを読んだがそれらしいものは見つけられなかった。

ならば大丈夫なのだろうとは思ったが、やはりなんとも言えない不思議な感じは残った。


消せ、という指示ではないので、裏切りではない。

誘拐でもないのだから、警察に身元がバレて拘束されているというわけでもないのだろう。

ただただ見舞えというのは可笑しな話だ。


一般常識をもとに考えれば心配なのでは、という結論に辿り着く。

もちろん自分もそれを考えなかったわけではない。

だが、よりによってあの組織ではなさそうだと思ってしまうのは、組織を知っている物からすれば当たり前の感覚。

むしろ妙にそんな考えを持っていたら死んでしまう。


だが、もしもーー

自分にメールを送り付けてきた女の名前をジッと見つめてから、画面を暗くする。


詳しいことはそこで自分を待っている者に訊こう。

そう自分の中で指針を決めてから歩き出す。

向かうのはメールに書かれていたごく普通の病院。

探偵としての自分が生活する街にある何の変哲もない一般病棟だった。

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はちうん(プロフ) - くろさん» 結構危うい線ばかり渡っているので気を付けます。コメントありがとうございますね。 (2017年7月12日 21時) (レス) id: 52741b67fc (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - え、昴さんもアルバム見ちゃうの?コナン=新一だともろ、怪しまれるんじゃw更新待ってます。 (2017年7月11日 10時) (レス) id: 63c7811fee (このIDを非表示/違反報告)
はちうん(プロフ) - くろさん» ありがとうございます。これからも頑張りますね。 (2017年5月16日 6時) (レス) id: 8bc22cead9 (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - メンタリスト!あまりというか今まで読んだことないお話です!!続き楽しみにしてます! (2017年5月15日 15時) (レス) id: b1672a66d3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はちうん | 作者ホームページ:http://id35.fm-p.jp/408/yuna3lone/  
作成日時:2017年4月27日 23時

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