44話 ページ46
ねぇ、あれ。
そう灰原に声を掛けられるまでもなく、コナンはその男たちに気づいていた。
いつもの公園に向かう道の途中の奥まった場所で、若い男たちが何らかの取引をしている様だった。
構成員は未成年から二十代前半、最近少しだけニュースになる薬の取引というやつだろうと推測し、こっそり距離を詰める。
警察に何らかの意図があって野放しにしているのか、それとも普段はこんな人目に付く可能性のある場所で取引をしないのか、その判断はつかなかったが、治安維持への貢献は市民の義務だし、コナンの中に流れる血がそう駆り立てるため、いつかのように取引の場面の写真を撮る。
後はこれを目暮警部あたりに見せればいいだろう、と思って路地の入口に居る灰原と撤退を決める。
「あー、コナン君! こんなところで何してるんですか」
「かくれんぼー?」
「なんだってこんな暗いとこでやる必要あんだよ。って、誰だぁ、その兄ちゃんたち」
「――ッ!」
唐突に路地の入口からかかった声は、自分にとっても、男たちにとっても予想外だったようで、三人の男が一気にこちらを振り返る。
驚愕に見開かれた男の目が、コナンたちを認識し、怒鳴るように和泉(いずみ)と誰かの名を呼ぶ。
はいー、と緩い返事があったと思うと、灰原や歩美たちが入りかけている路地の外側から、飲み物を抱えた茶髪の人のよさそうな青年が顔を出す。
直前までパシリをさせられていたと思われるその人は、路地の中が修羅場になっているとは思ってもいなかったようで、一瞬前のコナンたちと同じように驚いた表情を浮かべた。
「ガキが逃げないように路地塞げ!」
「なんですか、この子達……」
細い路地で、青年が一人真ん中に立って手を広げるだけで容易に塞げてしまう場所だ。
青年が飲み物を抱えて路地の入口に立ったことによって、事態の深刻さが分かったらしい歩美たちが怖がっているのを確かめながら、青年が問う。
目撃者だよ、と荒々しく言われた青年は、はぁ、と一回頷いた。
困ったように路地の中を見た青年の目は、ふと陰で携帯を持っていたコナンを捉えた。
その目が、先ほどと同じくらい見開かれた。
何故二度驚いた、とその様子を分析しながら、コナンの頭は必死に現状打破の方法を考えていた。
と、青年は腕を振りかぶって、何かを勢いよく投げた。
それは、痛々しい音を立てて奥に居た男たちに当たった。
逃げて、という声を背後に聞きながら、コナンたちは必死に走った。
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はちうん(プロフ) - くろさん» 結構危うい線ばかり渡っているので気を付けます。コメントありがとうございますね。 (2017年7月12日 21時) (レス) id: 52741b67fc (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - え、昴さんもアルバム見ちゃうの?コナン=新一だともろ、怪しまれるんじゃw更新待ってます。 (2017年7月11日 10時) (レス) id: 63c7811fee (このIDを非表示/違反報告)
はちうん(プロフ) - くろさん» ありがとうございます。これからも頑張りますね。 (2017年5月16日 6時) (レス) id: 8bc22cead9 (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - メンタリスト!あまりというか今まで読んだことないお話です!!続き楽しみにしてます! (2017年5月15日 15時) (レス) id: b1672a66d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はちうん | 作者ホームページ:http://id35.fm-p.jp/408/yuna3lone/
作成日時:2017年4月27日 23時