32話 ページ34
「――それで、私のところに来たわけ?」
「え、いやまぁ……灰原はそういう情報収集得意だろ? 父さんの信頼してる後輩みたいだし、一人だとどうも思考に邪魔が入るんだよな」
あなたもやっぱり人の子ね、などとよくわからない言葉を投げかけた後、彼女は奥で使用していたらしい起動済みのパソコンを持ってくる。
開かれているタブには、白神先生の関連情報が並べられている。
それとは別にタブを開いたので、蜂谷の海外での動向を調べるように頼むと、彼女は大げさな様子で呆れた、というようなジェスチャーをして見せた。
「よくわからないけれど、とりあえず基本情報から調べましょ。人の真髄に触れるためには、多少なりともそういう情報も大事だから。先走りは厳禁よ、名探偵さん」
「まぁ、確かに一理あるか……」
生殺し状態のような気もしたが、確かに蜂谷授という男に対する知識の欠如は事実だった。
落ち着くためにも、そういう情報を仕入れるのも大事かもしれないと自分自身に言い聞かせ、はやる気持ちを抑える。
「劇作家としての才能が開花したのは中学の時ね。書いた台本が県レベルで注目されてるわ。ただ、固定の劇団を持って本格的な活動をし始めたのは大学を出たあとね。在学中にアメリカに交換留学に行ってる……奥さんがアメリカ人らしいから、この時出会った可能性も十分考えられるわ」
そう言いながら、中学高校で書いた台本の題名をコピーした紙が機械から吐き出される。
一年に一本以上は書いているらしかった。
分野は色々だったが、確かにミステリーはなかった。
学生演劇でミステリーをするには小道具の配置や死の演出、観客を適度に飽きさせない内容や、推理の材料のばら撒きなど、難しい要素が多いので敢えて書いていないようにも感じられた。
本人に会うか、作品をしっかり読まない限り断言はできないが、本気を出せば書くことができる人のような気がした。
「本格的な活動を行っていたのは二十代後半までだったようね。そこで結婚して子供ができたのを機に引退してるわ。それでも生活が成り立っているのは引退が実質演出家としてのだけだったからみたい。頼まれれば台本は手掛けていたそうよ。ただ、あまり表に出ていなかったようだし、だから日本では知名度があまり高くないのね」
あなたのお父さんとのコラボもしっかり記事になってるわよ、とまたレビューを機械に吐き出させながら彼女は笑った。
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はちうん(プロフ) - くろさん» 結構危うい線ばかり渡っているので気を付けます。コメントありがとうございますね。 (2017年7月12日 21時) (レス) id: 52741b67fc (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - え、昴さんもアルバム見ちゃうの?コナン=新一だともろ、怪しまれるんじゃw更新待ってます。 (2017年7月11日 10時) (レス) id: 63c7811fee (このIDを非表示/違反報告)
はちうん(プロフ) - くろさん» ありがとうございます。これからも頑張りますね。 (2017年5月16日 6時) (レス) id: 8bc22cead9 (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - メンタリスト!あまりというか今まで読んだことないお話です!!続き楽しみにしてます! (2017年5月15日 15時) (レス) id: b1672a66d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はちうん | 作者ホームページ:http://id35.fm-p.jp/408/yuna3lone/
作成日時:2017年4月27日 23時