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30話 ページ32

「……ううん、新一兄ちゃんも朧気だって言ってたけど、そうじゃなかったらしい」

「新一君が、ですか……」


言いつつも、大学院生の瞳が光る。

普段は細めているにも拘わらず、こんな時だけ開くなど少し卑怯な気がする。

きっと彼の頭の中では既に工藤新一=江戸川コナン、の式が成り立っているのだろう。

それでもわざとらしいほどに子供っぽい笑みを浮かべて見せる。


「先生は何年も前から世界レベルで有名な方ですからね……。何年か前のパーティーとはいえ、ニュースか何かで記録が残っている可能性が高いでしょう」

「……あ。言われてみれば」

「まぁ、坊やも子供ですからね。慌てていれば気づかないこともあるでしょう」


大して嫌味っぽくもない言い方で彼は言いながら、立ち上がってパソコンを持ってくる。

カタカタとタイプ音が響く中、先ほど渡された水を口に含んだ。


「ああ、これですかね。ここに映り込んでいるお子さんは新一君でしょうか? 確かに、よく似ている」

「そ、そうかなぁ……?」


苦笑いしながら、彼が開いたページを見る。

少々画像は荒かったが、確かに真ん中に立っているのは父である工藤優作で、その隣には見覚えのない男性が立っていた。

彼が指摘した通り、端っこには幼き日の工藤新一が映り込んでいた。

相変わらず大した観察眼だ、と思いながらその姿が大きく映っていないことに安堵する。

これは父たちを中心に映してるのでややピンボケもしているし、似ているで済ませられそうなレベルだった。

アルバムは後で博士の家で確認しよう。

自分と一緒に何人かは写っているはずだったが、その写真はあまりにもダイレクトに写っているはずだった。


「一緒に写真に写っている方ですが……どうやら劇作家で演出家の蜂谷 授(はちや さずく)という男性らしいです。……先生の後輩らしいですね。結婚して既に引退なさっているようで」

「パーティーを開いたのはこの人の自宅?」

「いえ、此処に書かれている情報によると、蜂谷先生の別荘で開いたらしいです。普段はミステリーをやられない蜂谷先生に工藤先生が協力した舞台と、工藤先生の作品の舞台化を同時に行ったらしく、その記念らしいです」


父がコラボなどを行うイメージは無かったので純粋に驚いた。

父がそんなに信頼している人だという事だろうか。


自分に声を掛けたと思われる写真の中のその男性は、緩く波の入った長い黒髪を脇でまとめて静かに微笑んでいた。

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はちうん(プロフ) - くろさん» 結構危うい線ばかり渡っているので気を付けます。コメントありがとうございますね。 (2017年7月12日 21時) (レス) id: 52741b67fc (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - え、昴さんもアルバム見ちゃうの?コナン=新一だともろ、怪しまれるんじゃw更新待ってます。 (2017年7月11日 10時) (レス) id: 63c7811fee (このIDを非表示/違反報告)
はちうん(プロフ) - くろさん» ありがとうございます。これからも頑張りますね。 (2017年5月16日 6時) (レス) id: 8bc22cead9 (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - メンタリスト!あまりというか今まで読んだことないお話です!!続き楽しみにしてます! (2017年5月15日 15時) (レス) id: b1672a66d3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はちうん | 作者ホームページ:http://id35.fm-p.jp/408/yuna3lone/  
作成日時:2017年4月27日 23時

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