第３４話 ページ34
すっかり慣れた様子で父の車を操るチャチュルは、道中事故を起こすこともなくAをソウルの街へ連れて来た。
帰国してからは忙しく、地元での行動をメインにしていたため、訪れるのは久しぶりだった。
といっても、元々外出好きだったわけではないAは韓国に居た頃から都会に出てくることなんてあまりなかった。
その為、懐かしさというものはあまりない。
車を降りて歩き出した兄はそんなAとは違って通い慣れているような雰囲気が出ていた。
スタスタと歩いて行く姿は、我が兄ながらカッコイイなと思う。
チャチュルは身長１８０�僂板洪箸癖�であり、醸し出す雰囲気も大人っぽいので、街中を歩いて行く姿はとても様になっている。
「年末だから少し混んでいるかもしれないけれど……いいお店を知っているから。着けば人もあまりいないと思うよ」
「この時期にあまり人のいないお店……高級店じゃないですよね？」
「Aが想像するようなヤバいレベルじゃないと思うよ。個人経営のお店でね。紹介制なんだ。俺は何度か行ってるから問題ないよ」
「色々申し訳ないです」
「大丈夫。むしろ人が多いこの時期にこんな都会に連れ出しちゃって、Aの負担になってないか不安だよ」
そう言いながら、チャチュルは人通りの少ない道を探して歩く。
兄の気遣いに痛み入りながら、Aは自分の体質を恨んだ。
Aは多くの人が密集している場所が嫌いだ。
普通の人なら嫌だな、と思うくらいで済ませられる人ごみも、気分的な問題だけでなく、直ぐに体調面にも不調があらわれてしまう。
一対一で話すのが苦手なのは完全に人見知りで、それはアメリカで過ごすうちに多少はマシになったが、やはり初対面の人との会話は慣れないし、一度でも敵意を向けられれば警戒が解けるのに恐ろしく時間が掛かる。
そんな面倒なAに飽きもせず、初めのひと月ほどずっと二人っきりで行動してくれていたロニは本当に懐の深い男だと思う。
長時間歩けば歩くほど寒さは身に染みてきて、ダメージジーンズをチョイスしたことに後悔が生まれる。
冗談半分でガンウが買っていた黒マスクが唯一、口元を温めていた。
暫く歩き回って、表通りから外れて道を入って行けば、オシャレな看板の掛かったこじんまりとした入口が見えた。
此処だよ、と言って兄が先に入って行く。
続くAは背負ったギターケースで商品を傷つけたりすることが無いように気遣いながら店に入った。
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はちうん(プロフ) - 繭さん» ありがとうございます。意識はしているのですが、たまに変な文章を書いてしまうので、そう言っていただけると嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (2018年3月14日 16時) (
レス) id: 0891d2b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
繭(プロフ) - コメント失礼します。はちうんさんの文風がすごく読みやすくて尊敬します！これからも頑張ってください！ (2018年3月13日 13時) (レス) id: dba4d43671 (このIDを非表示/違反報告)
はちうん(プロフ) - KNさん» コメントありがとうございます、嬉しいです。これからもよろしくお願いしますね。 (2018年3月12日 7時) (レス) id: 0891d2b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
KN - コメント失礼します。この作品すごく好きです。毎日チェックしてます(笑)文章がとても綺麗ですね!これからも応援してます!ファイティン! (2018年3月12日 0時) (レス) id: de585078da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：U_hi | 作者ホームページ：http://id35.fm-p.jp/408/yuna3lone/
作成日時：2018年2月19日 2時
