第28話 ページ28
ソヨンの笑顔に励まされる形で、ずっと胸の中にあった謝罪を口にする。
謝っても償いきれない、Aの過ち。
「今日、こちらに伺ったのは、一つは謝罪のためです。……僕が、ユナヌナを連れ出さなければ、学校に連れ戻そうとしなければ、こんなことにはならなかったはずです。それをずっと、きちんと謝りたくて」
「それは……」
「母の塾に来ていたユナヌナに、高校に行こうと提案したのは僕です。ユナヌナのレベルなら、母の塾に通っていれば高校卒業資格くらい簡単に取ることは出来ました。それなのに……僕の価値観で、僕の身勝手で、ユナヌナを高校に――僕は結局ユナヌナと違う学校に、アメリカに行ってしまいました」
「それは、そうだが……」
塾で出会ったユナは、中学の頃からクラスの子たちとの付き合いで問題が発生してしまったらしく不登校気味で、結局中学卒業後、直ぐには高校に進学しなかった。
その代わりに、地元では有名どころであるAの母の経営する塾に来たのだ。
そこで十分な学力を付ければ、ユナの頭の良さならば高校卒業資格を取ることができた。
それでも、ユナに出会ったAは、彼女と時間を過ごすうちにユナに高校に通う事を勧めるようになった。
生きづらい社会だけれど、それでも高校で得られる物はあるはずだから、だからもう一度、学校に行ってみよう、と声を掛けた。
友情は何にも代えがたいから、ユナならきっと真の友を得られるから、と彼女に言ったのだ。
お互いに悩みを相談する関係だったから、前に進みたがっているユナにAはそうアドバイスしたのだ。
そして、ユナの春からの高校入学が確定になる少し前に、Aは父から転勤の話を聞いた。
『――そういう話があるんです。ユナヌナは……どうしたらいいと思いますか?』
『Aは、どうしたいの?』
『俺は、ですか?』
『私ね、高校へは前から行ってみたかったの。中学がうまくいかなかったから、直ぐに進学する道は選べなくて、それでこの塾に来てたけど……高校に行きたいっていう気持ちに嘘はなかったよ。Aにはね、前に進む勇気をもらったんだ。だから私も、Aには意見じゃなくて、前に進む力をあげたい』
『……俺は』
『自分の気持ちに、嘘は吐いちゃだめだよ。後で後悔する理由を作ったらダメ』
『父さんと、アメリカに行きたい』
『それでいいんだよ、A。私は応援してるから』
そうしてユナとAの道は分かれた。
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はちうん(プロフ) - 繭さん» ありがとうございます。意識はしているのですが、たまに変な文章を書いてしまうので、そう言っていただけると嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (2018年3月14日 16時) (レス) id: 0891d2b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
繭(プロフ) - コメント失礼します。はちうんさんの文風がすごく読みやすくて尊敬します!これからも頑張ってください! (2018年3月13日 13時) (レス) id: dba4d43671 (このIDを非表示/違反報告)
はちうん(プロフ) - KNさん» コメントありがとうございます、嬉しいです。これからもよろしくお願いしますね。 (2018年3月12日 7時) (レス) id: 0891d2b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
KN - コメント失礼します。この作品すごく好きです。毎日チェックしてます(笑)文章がとても綺麗ですね!これからも応援してます!ファイティン! (2018年3月12日 0時) (レス) id: de585078da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:U_hi | 作者ホームページ:http://id35.fm-p.jp/408/yuna3lone/
作成日時:2018年2月19日 2時