君を想いて詩を紡ぐ【男主】

第２３話　Side/Bangtan Boys ページ23

「ジミニヒョン、今いいですか？」


夕食後、何をするわけでもなくぼんやりと椅子に座りこんでいると、携帯を片手にマンネであるジョングクが近寄って来た。

バンコクでのツアー終了後、戻ってすぐの今日はオフで、そういえば夕食の時しか顔を合わせる機会がなかったな、とその姿を見て思った。

トコトコ寄ってくる様子は、何だか犬のようで可愛らしいな、と思う。


「うん、大丈夫だけど。どうかした？」

「ちょっと気になる記事があって。ジミニヒョン、今日仁川行きました？」

「いや、そっち方面には全然行ってないけど、なんかあったの？」


この記事なんですけど、と差し出された携帯を見ると、表示されていたのは記事というか、ブログのようなもので、サイトの傾向としては芸能人追跡や発掘というものが多いようだった。

発掘、と部類分けされたその記事は今日更新されたもので、何枚かの写真とかなりの数のコメントが来ているようだった。


「私服のセンスが全然違うから、個人的にはヒョンではないかなと思ったんですけど、一部ＡＲＭＹがこの記事のリツイートをしていて。もしかしてって思ったんですけど、やっぱり違ったんですね」

「……これ、僕に似てる？」

「背格好は、まぁ……。私服的にも一般人には見えませんし、サングラスとマスクで隠れちゃってますけど、それなりに良い筋の顔だと思いますよ」


その記事は写真の人物が、海外のアーティストもしくは帰国したてのアイドル、というブログ主の推測を元に書かれたものだった。

その人物を仁川で目撃したという事と、推測での身長、着ている服のブランド名が出されていて、それが韓国のブランドではなくアメリカを拠点として活動しているちょっとお高めの物だったことから芸能人説が有力になったらしい。

タクシーを待っている間にペットボトルから水分を補給していて、その時のマスクを外した口元が読者に受けたらしくサイト内で記事が注目を浴びて、拡散されたそれをみたＡＲＭＹがジミンに似ているのでは、と言い出しそれを更にＡＲＭＹ間で拡散したらしく、その投稿がジョングクの目に触れたらしかった。


「でもこの人、僕より細身な気がする……」

「あぁ、それ俺もちょっと思いました。だから、服の事も含めて違うかなって考えてたんです」

「でも国を跨いだ割には荷物少ないし、本当に芸能人なのかもね」


ギターケース持ちだしそのうち会う機会があったりしますかね、と笑うマンネに、かもね、と返した。

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