第２２話 ページ22
「じゃあ、頑張らないといけないね」
そう言って、手を触っていた手がぐしゃりと髪を撫でた。
夕食前に無事に写真を撮り終えたからメイクも落として、最後に残っていた髪型も今崩されて。
あー、いつものAだ、と笑いながら言うチャチュルの声は何処までも優しかった。
心に染み込んできて、泣きたくなるような声だ。
「雰囲気が固いと思ってたんだ。ずっとこれを言いたかったんだね。しっかり考えて、本当に偉い子だ。すっかり大人になっちゃって」
「寂しく感じてるんですか、ヒョンニム？」
「マテョン(長男)だからね。弟たちの成長は嬉しいけど寂しいよ」
「オレとは三歳しか違わないじゃないですか」
「でもちゃんと俺の方が大人っぽいでしょ？」
「……まぁ、頼りになるヒョンニムですよね」
Aが泣きそうになって顔を上げられなくなってしまったのを察してか、ガンウとチャチュルが明るいトーンで会話を続ける。
黙っていた父と母も会話に加わりだして、もともと何処かずれている一族なので会話に収拾がつかなくなり始めた。
考えてみれば、話しているメンバーで酒を口にしていないのはガンウくらいなもので、その兄だって注意を払っていなかったからよく覚えていないけれど、９５年生まれなので勧められていても不思議ではない。
勧められたら断らないのが礼儀だ。
酔っ払い集団……そんな言葉が頭に浮かんだが、今はその明るさが救いだった。
緊張が解けて、肩の荷が一気に下りたような気分だった。
これで大学候補がアメリカになるのは家族公認。
あれだけ啖呵を切ったのだから、無様な結果は残せなかった。
考えるのは目標とする大学の事。
隣の州にあるその大学は、国内で五本指に入る難関校というだけではなく、世界的にも有名な難関校である。
自分自身に最高の環境を与えるなら、目指すべきはそこだと、大学の話を仲間内でする間に心の中でひっそりと固めていた決意。
引き返すことはもうできなくなってしまったけれど、後悔はなかった。
最善を尽くす、それしかないのだろう。
終わりが見えなかった食事も、出されていた酒が尽きたことでお開きになって自然に自室に戻る流れになった。
家に着いて直ぐ、持ってきた荷物とジャケットを置くために戻ったけれどじっくり自室に居るのはやはり半年ぶりで、時間の流れを感じた。
部屋が綺麗なのは母のお陰だ。
眠くはなかったが、ユーゴに写真を送ってすぐ、とりあえずベッドに横になった。
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はちうん(プロフ) - 繭さん» ありがとうございます。意識はしているのですが、たまに変な文章を書いてしまうので、そう言っていただけると嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (2018年3月14日 16時) (
レス) id: 0891d2b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
繭(プロフ) - コメント失礼します。はちうんさんの文風がすごく読みやすくて尊敬します！これからも頑張ってください！ (2018年3月13日 13時) (レス) id: dba4d43671 (このIDを非表示/違反報告)
はちうん(プロフ) - KNさん» コメントありがとうございます、嬉しいです。これからもよろしくお願いしますね。 (2018年3月12日 7時) (レス) id: 0891d2b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
KN - コメント失礼します。この作品すごく好きです。毎日チェックしてます(笑)文章がとても綺麗ですね!これからも応援してます!ファイティン! (2018年3月12日 0時) (レス) id: de585078da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：U_hi | 作者ホームページ：http://id35.fm-p.jp/408/yuna3lone/
作成日時：2018年2月19日 2時
