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第16話 ページ16

ユーゴのコーディネートが上手かったようで、芸能人と間違われることはなかったが、何度か見られている、と感じる事はあった。

少し前を手続きを進めながら歩く父は、鈍感さが功を奏してか、特に気づいた様子を見せなかった。


父は、Aの服装を見た時には流石に少し驚いていたようだったが、ユーゴの兄さんたちへのサプライズですよ、という説明に何故だか納得しているようだった。

じゃあ俺も調整しようか、とラフだった服装を少し真面目系統に変えるという気遣いまで見せてくれた。

兄たちに似てノリのいい父親である。



何となく付けてしまっていたマスクを外してパスポート認識をクリアする。

問題はなかったようだけれど、自分で比べて見てもわかるくらいには年齢的に差があるように見えた。

欧米諸国ではそれほどでもないだろうが、アジア圏では軽く5歳ほど年を誤魔化せている。

これは本当に兄たちの驚く顔が眼に浮かぶようだった。



定刻に飛行機に乗り込んで、早い便に漂う眠気に身をまかせる。

今は誤魔化せている感情も、じっくり考える時間を設けて仕舞えば当然のように表面に浮上してくるに違いない。


今はダメだ、まだ、飛行機という密室に囚われているうちは。

泣くのなら、叫ぶのなら、自分が行くべき所はーー


窓の外、何となしに眺めてみれば、空を走り出した飛行機が雲の上を泳いでいた。

安全の保証された機体。

文明の発達によって生活に溶け込んできた文明の利器。

疑う事など知らないけれど、でも全てが全て安全じゃない事の証明は、残念ながら定期的に行われていて。

このまま自分も、流れに身を任せて堕ちていけはしないだろうか、なんてくだらない事を考えた。

約束を果たしていない、ユナに怒られる。

そんな考えが浮かんでは消えたけれど、それでももし自分が安全である、という証明の反例になれるならなってしまいたい、という考えは簡単には消えなかった。

終わりは静かだと良い、そう思いながらすっかり重くなった瞼を落とした。



おい、と声を掛けられながらツンツンと突かれて、ボンヤリとしたまま目を開けた。

少しだけ空気の違いを感じたような気もしたが、まだ目的地ではなくて、機内食の案内だった。

適当に読み上げられたメニューから無難な物をチョイスして、渡されたそれを流し込むように食べた。

緊張が疲れを呼んでいる。

夢はいつだって幸せだ。

だからAは、また夢へと逃げることにした。

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はちうん(プロフ) - 繭さん» ありがとうございます。意識はしているのですが、たまに変な文章を書いてしまうので、そう言っていただけると嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (2018年3月14日 16時) (レス) id: 0891d2b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - コメント失礼します。はちうんさんの文風がすごく読みやすくて尊敬します!これからも頑張ってください! (2018年3月13日 13時) (レス) id: dba4d43671 (このIDを非表示/違反報告)
はちうん(プロフ) - KNさん» コメントありがとうございます、嬉しいです。これからもよろしくお願いしますね。 (2018年3月12日 7時) (レス) id: 0891d2b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
KN - コメント失礼します。この作品すごく好きです。毎日チェックしてます(笑)文章がとても綺麗ですね!これからも応援してます!ファイティン! (2018年3月12日 0時) (レス) id: de585078da (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:U_hi | 作者ホームページ:http://id35.fm-p.jp/408/yuna3lone/  
作成日時:2018年2月19日 2時

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