愛だの恋だのくだらない2【ワートリ】【WT】 (ページ6)

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47話ページ6

1回戦目の相手はA級8位の片桐隊隊長片桐隆明だ。場所は市街地A、スナイパーにとっては不利な地形だけどそれ以外なら通用する地形だ。

『片桐〜帰ってきて早々ごめんね』

「いや大丈夫だよ。宮野のA級昇格がかかってる事だしね」

爽やかな笑顔で答える片桐。

＿＿インテリ風イケメンめっ！

なんて思ったりなどもしてしまった。それぞれ転送され放り出されたのは、陰鬱な黄昏時だった。

周りは背の高くない住宅街。空の色も相まって小学生の頃の下校を思い出させる。私はとりあえず、近くの建物の間に体を寄せてから周囲を警戒する。

現在少なくとも500m以上離れている位置に転送されたので、視界内には人影は見つからない。

バックワームで奇襲という戦法もあるが私は機動型アタッカーなので相手を待つ戦法は性分では無い。

急に風が吹いた。その瞬間、私の目の前、僅か25m程離れた場所から突然音もなく片桐が現れた。

そしてその直後、片桐のアサルトライフルから軽快な音が聞こえ左足に衝撃を感じた。撃たれたのは2発。空中で宙返りをし、屋根の上に着地する。

このままだと距離を保たれ耐久負けとなってしまう。その前にやるしかないと思い切りグラスホッパーを蹴った。

私と片桐の距離はざっと15m。走りながら右手にスコーピオンを出す。片桐は私にアサルトライフルを向け引き金を引いた。その瞬間、私はグラスホッパーとスコーピオンを使い初弾と次弾の軌道を遮る。

スコーピオンを弾が触れる度鮮やかなオレンジ色の火花が散る。一瞬でも迷ってしまえば撃ち抜かれる距離、思考よりも自身の動きを信じスコーピオンを動かした。

命中弾をスコーピオンで弾き飛ばし、片桐との距離を一気に詰めた。

「まじかっ！」

いつもの爽やかな面持ちが崩れ、驚愕の声が漏れる片桐。間合いに入った瞬間、最後にもう一度踏み込み、スコーピオンで片桐の体を刺した。直後、片桐のトリオン体にヒビが入りベイルアウトしていく。

『勝った…』

痺れるような余韻が体全体を駆け巡り、その場に座り込む。1回戦目は何とか勝てた。スコーピオンでの捌きにとてつもない集中を要したので、神経はもう使い物にならなくなっていた。