愛だの恋だのくだらない2【ワートリ】【WT】 (ページ16)

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57話ページ16

手のひらをぎゅっと握りしめる。相手は風間さん。今までの相手の中で１番手強い相手になるだろう。

深呼吸をしてから転送された場所は市街地B、よしっと自分を叱咤するように一声叫び、強く地面を蹴った。

駆け足で移動していると、急に気配を感じ風間さんは後ろから奇襲をかけてきた。

私もスコーピオンを振りかぶる。両者の距離が近づくにつれて脳内で火花がスパークしている感覚に襲われる。

私と風間さんのスコーピオンがぶつかり合いバチバチと光が空間を切り裂く。お互いに弾き合いその瞬間風間さんの懐に潜り込んだ。

懐に留まり続けるのは危険だが、体制を立て直すくらいの時間は稼げる。

『はぁっ！』

そしてスコーピオンを振りかざすが、シールドで防がれてしまった。防がれてしまったことにより一瞬怯むが、自身に鞭打つかのように叫んだ。

____こんなところで負けてはいられない！

片手に握ったスコーピオンを横に振りかぶり、空いた片手でメテオラを放つ。

風間さんの攻撃を弾き返すが連続で繰り出される攻撃に遅れをとり、スコーピオンと腕で攻撃を受け止める。

自身の体からトリオンが漏れヒビが入っていく。ここまでなのかなと頭に浮かぶ。トリオン漏れが激しく時間もそこまで稼げない。

対して風間さんはトリオン漏れは少ししかしていない。勝てるとしたら供給機関を直接狙わなくてはいけない。

このままやられっぱなしは私の性分ではない。ならやることはただ一つ。

両足でしっかりと地面を踏みしめ、スコーピオンを逆手に持った。たとえ風間さんに貫かれようとも、全力の一太刀を浴びせるつもりでグラスホッパーを蹴った。

『メテオラ！』

風間さんに向けてメテオラを放つ。近距離でのメテオラでも防がれるのは想定済みだ。だから宙で２回転し風間さんの後ろに回り込み蹴りを放った。丁度足からスコーピオンが出るように調節をして。

「A強くなったな」

私の攻撃は見事風間さんのトリオン供給機関に当たっていた。ミシミシと音を立てながら風間さんのトリオン体が崩れていき、ベイルアウトしていった。

力が抜け、ぱたっと座り込む。

空を見上げると仮想空間だとしても、澄んだ青空が広がっていた。

『私…風間さんに勝ったんだ-…』