愛だの恋だのくだらない2【ワートリ】【WT】 (ページ15)

今日:4 hit、昨日:42 hit、合計:30,459 hit

56話ページ15

「宮野試合まで時間は？」

『あるけど…』

「なら大丈夫か」

出水はそれだけ言うと近場の喫茶店に私を連れて入った。私はアイスティーを出水はジンジャーエールを頼む。お互いに沈黙のままでいると、頼んだ品が運ばれてきた。そして出水が口を開く。

「今日の相手は風間さんだろうな」

『うん…わかってる…』

私の師匠でもある風間さん。私が13歳の頃からお世話になっていて、戦闘スタイルも風間さん譲り。だから私の癖とか、どこで隙が生まれるかも知られている故に1番強敵なのだ。

「最近思い詰めてただろ」

出水の言葉に目を見開く。なんでそこまで私の事が分かるのだろうかと。

『出水には敵わないな。まぁね、絶対に勝たなきゃなんて考えてた』

「宮野なら大丈夫だろ、お前の強さは俺が1番知ってる」

『…ありがとう』

そう言いアイスティーを飲んだ。

試合まで時間がありたわいもない話をしていると出水はあっと何かを思い出したような表情をした。

「そう言えばさっき宮野は何を言いかけたんだよ」

『さっき？』

さっきとはなんだろうと考えるとあの事が頭に浮かび、自分のとった行動と発言に顔が赤くなっていく。

『いやっ、あれは…その…違くて…』

「何が違うんだ？」

出水はニヤニヤとしながら聞いてくる。これ以上何を言えばいいか分からなくなり、咄嗟に立ち上がった。

『私もう時間だから行くね！じゃあね！』

急いで財布から千円札を出しテーブルに置き、喫茶店を飛び出した。

目の前であたふたと慌てながらいなくなる友達基好きな相手に笑いを堪えながら、先程まで座っていた目の前の席を見つめる。

女の人に絡まれた時に見せた反応は期待したくなるような行動だった。

他にも宮野を好きな人はそれなりにいる。だから今日は大きな収穫だった。

なんにせよ、可能性は無くはないのでもっと積極的にいくかと決心し帰路についた。