愛だの恋だのくだらない2【ワートリ】【WT】 (ページ12)

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53話ページ12

お互いにかすり傷の付け合いが続いてから少し経過した頃加古さんが口を開いた。

「Aちゃんは誰と付き合ってるのかしら？」

『つっ付き合う？！それ今関係ありますか！』

「もちろんあるわよ。最近会えてなかったじゃない」

叫んだ後顔が赤くなるのが分かり、加古さんはいたずらっ子のような表情をしている。

「そうね〜風間さんあたりかしら？強くて頼りがいがあるものね」

『師匠と付き合うなんてっ、そんな！』

「なら出水くんかしら？同級生でよく一緒にいるじゃない」

『出水はっ、同級生で…！』

「そしたら辻くんよね？二宮くんから辻くんが最近はAちゃんとよく話しているって聞いた事あるわ」

『辻は、同じアタッカーとして……』

「他は…隠岐くんがいるじゃない！東さんが隠岐くんがAちゃんに狙撃をレクチャーしたって言ってたわ！」

『隠岐も、先生みたいな感じで…』

加古さんから質問攻めと風間さんとか出水とか辻とか隠岐が出てきて頭が混乱していく。これ以上この話を続けられたら頭がキャパオーバーしてしまう。

「あら、そうなのね。じゃあ好きな人はいるのかしら？」

『好きな……人……』

加古さんの言葉にピタッと体が固まっていく。

＿＿べつに、皆のことは好き。でもそれは尊敬とかそんな感じの好き。……恋愛での好きは、

胸の中で呟くが余計に分からなくなっていく。

「Aちゃんにヒントをあげるわ。周りの人をよく見てみなさい、案外近くにいたりするものよ」

微笑む加古さんは凄く大人びていて、私よりも"好き"という感情が何なのか知っているんだなと実感した。