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そんな思いも束の間

試食を終えた安田さんが放った第一声


「上の下…やな」

“上の下”って……


「その顔、自分でもわかってるん?“中途半端”やって」

「………」

自分でもわかってた。この味で商売が出来るなんて思ってない


「Aっ、俺は美味かったで?」

「ありがと、裕くん」

焦る裕くんにお礼を言ったものの


「料理好きの素人さんが作ったメシや」

面と向かって言われると、結構なダメージ

「ヤス、相変わらず厳しいなぁ」

苦笑いの信ちゃん


「村上くんかて知ってるやろ?俺らが斡旋した飲食店で今でも続けてる人なんて、ほんのひと握りやんか。
それだけ厳しい世界やのに、この味では勝負できひんって。
“上の上”まで上り詰めて、自分の納得いく味提供せな、お客なんてついてのこぉへんわ」

「まぁ なぁ…それは重々承知の上やけど…」

あの信ちゃんが押され気味なんて。この人、本当に“出来る人”なんだ


「でも…」

テーブルの上のひとつのお皿 スッと前に出し

「これは“上の上”に近い味やったかも」

安田さんが動かしたそのお皿は、ポテトサラダがよそってあったもの



「あと、これ…」

信ちゃんに手渡されたクリアファイル

「おーっ、さすがヤスやな。こんなにシミュレーションしてくれたんかいな」

「別に。こんなん簡単やし…」

「これ、ええやないか。ここの立地条件やったら、弁当 売れるんちゃうか?」

「……一年」

「んっ?」

「一年経っても開業出来んかったら、俺 手引くから」

「ほしたら、手伝ってくれるんか?」

「村上くんの頼みやもん。断られへん」

信ちゃんと安田さんの間で交わされる会話
何のことかわからず、ただ聞いていると


「木口さん」

安田さんに名前を呼ばれて

「はいっ」

姿勢を正す


「生半可な気持ちでは、社長になんてなれません。さっきも言いましたが、この世界で成功する人はごく僅かです。それでも貴女は 挑戦しますか?」

「はい。私 決めたんです。逃げないって」

「泣き言、言わんで下さいね」

「言いません」

「なら、責任持ってサポートさせて頂きます」

「へっ?」

「よっしゃ、交渉成立や」

「どういう事?」

「俺の会社も軌道にのっとるしな。ヤスにはAについてもらおう思ってな」

「えぇっ?」

「ヤスの方が、俺より全然頼りになるから」


信ちゃんはそう言うけど、私 安田さんと上手くやっていけるか、自信がない


一抹の不安を抱え、私は社長への第一歩を踏み出した

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ちか(プロフ) - こあさん» 2作品、お読み頂き嬉しい限りです(≧∀≦)決して焦らしているわけでは^^;脱線が多すぎて、本質に迫りきれてないという……本日より、またユルユルと更新していきますので、長〜い目で お付き合い下さると嬉しいです^ ^ (2017年2月16日 8時) (レス) id: 19b6facfd4 (このIDを非表示/違反報告)
こあ(プロフ) - ちかさん» もちろん、同時進行で読み進めております♪ あぁ、焦らされている(笑) (2017年2月14日 1時) (レス) id: a127aff5ea (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - こあさん» 緑さんsideもお読みいただけているのでしょうか?ありがとうございます(≧∀≦)つ、繋がってしまうのでしょうか?!… な〜んて 含みを持たせつつ……(*^^*) 亀更新ではありますが、最後まで お付き合い下さいね☆ (2017年2月13日 22時) (レス) id: 19b6facfd4 (このIDを非表示/違反報告)
こあ(プロフ) - つ、繋がってしまう~(冷や汗)展開が楽しみですね★ (2017年2月13日 15時) (レス) id: a127aff5ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちか | 作成日時:2016年12月28日 1時

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