地位と 名誉と オカネと…【緑】

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そのままお姉ちゃんの部屋に転がり込んだはいいものの

「この部屋も狭いんだから、長くて1週間だからね」

姉に釘を刺されながら、空いてるスペースに荷物を置かせてもらう



“1日 よく考えろ”

信ちゃんに言われた言葉を思い出す




昔からそうだった


何となく 学生生活を送って

何となく 就職して


何となく 毎日を過ごしてきた



“やりたい事”とか“夢”とか、小さい頃は持ってたはずなのに、知らないうちにそんなもの叶うはずがないと、諦めて どこかに置いてきてしまった



私が、今 やりたい事って

これまでの生活を捨ててまで、やってみたい事って



一体 何だろう





カバンの中から手帳を取り出し、小さい頃から今まで、なってみたいと思った職業や、やってみたいと思った事を書き出してみる


“ケーキ屋さん”

“お花屋さん”

“学校の先生”


確か、こんな事 卒業文集に書いてたこともあったっけ……
昔を懐かしみつつ、一番最後に書き出したもの


「これ……かな？」



今の私が やりたい事






「2年間、お世話になりました」


特に引き止められもせず、すんなりと辞めることが出来た、今の会社


所詮、私なんて こんなもの

誰にも期待されず

必要ともされず


だから、二股かけられて


遊ばれちゃったのかな……




頭の中にモヤモヤと広がる、ネガティブな考えを追い出すように、頭をブンブン振ってみる


「……よしっ」



もう 迷わない


後戻りは 出来ない


もう 決めたんだから





裕くんのお店の前


大きく深呼吸をして



そのドアを開けた

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