地位と 名誉と オカネと…【緑】

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“パーティーになんて行ったことない”と言えば

『何事も経験や。ドシッと構えとけっ！』

って信ちゃんに言われて


“行っても、どうしていいかわからない”と言えば

『僕らが、ちゃーんとエスコートしたげるから』

ってマルちゃんに言われた



“緊張しすぎて、お料理の味なんてわからない”
と言えば

『俺たちが一緒なんやから、大丈夫やろ？』

って裕くんになだめられて


“私が持ってるの、リクルートスーツだけだもん”と言えば

『ほんなら、僕が見立ててあげる。いつ買い物行く？』

ってヤスくんに言われて


俺も 僕もっ…と、私そっちのけで買い物の日程が決められた




「ホントに ここ、入るの？」

連れてこられたのは、高そうなお店の前


「もちろん。僕 ここの常連さんやもんっ」


そういえば……

最近はラフな格好ばかりだけど、出会った頃のヤスくんの服装を思い出す


あのスーツ、ここのブランドのだったんだ



「はい、どーぞ」

ヤスくんがお店のドアを開けてくれて、中に入ると

「安田様、お久しぶりでございます。
本日は、どのような…」

上品な身のこなし、卒がない動きの店員さんが出迎えてくれた


「今日は、彼女のドレスを見せてもらいたい思って」

「左様でございますか。ではこちらへ…」



通された部屋には、色とりどりの何着ものドレス

「……すごっ」

「気に入ったの、どんどん試着してったらええよ。今日はこの部屋 貸し切りやからっ」

「A、これはっ？」

「こっちのが、似合うんちゃう？」

「Aちゃんには、もっと明るい色の方が…」

「僕っ、これが ええっ！」

私より、テンション上がる4人を尻目に


「私、これにするっ！」

手にしたのは、緑色のドレスだった



服や小物、身に付けるものは直感で選ぶ方

“これ”と思ったら、大体それで即決

買い物だけは、時間がかかった事がない


普段行くお店の何倍もある試着室

「うん、いい……かな？」

自分では気に入ったんだけど


……やっぱりみんなに見てもらおう



試着室を出ようとしたら、“コンコン”とノックの音がして

「木口様、よろしいでしょうか？」

「はっ、はい」

ドアを開けると、外に立つ 店員さん


「こちらも是非、お試し下さい」

手渡されたのは、靴 バック アクセサリー 時計


どれも私好みで、一流ブランドの店員さんって、一瞬お話ししただけで、お客さんの好みがわかるなんて……




流石だなぁ〜って思った

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