地位と 名誉と オカネと…【緑】

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「いよいよ、やね」

「うん」

「なんや板前やってた時より、緊張する。手汗 ハンパないもん」

「ちょっとっ、マルちゃん手 洗ってきたら？」

「はぁ〜い」

「マル おらん間に、店 開けてまう？」

「ダメだよっ。開店初日は3人でって 約束したでしょ？」



やっとこぎつけた 開店の日

バイトの子、何人か採用したけど、初日は3人で……って思いがあって

“お待たせ〜”と戻ってきたマルちゃんと3人で


「「「せーのっ」」」


お店のシャッターを開けた




「あ〜っ、疲れたぁ〜」

「ホンマに。思いの外、お客さん 来てくれたよなぁ」

「僕、こんなに唐揚げ揚げたん、初めてやわ」


開店初日

裕くんと信ちゃんが宣伝してくれていて、お客さんの殆どが、2人の知り合いの方々で、2人の顔の広さに驚かされた


今日の片付けと明日の準備をしながら

「明日からが 勝負…やな」

ヤスくんがポツリと呟いた


「新しいチラシとかポスターとか、作ってみる？」

「せやね。前に配ったのはオープンのお知らせやったから、今度はメニューとか載せて…」

「……割引券とか？」

「ん〜…それはもうちょい後かな？」

「そっか。1回食べてもらえれば、また食べたくなる味 だもんね、マルちゃんのレシピ」

「ありがとぉ。でも 納得いってへんのもあるんよ。もうちょい つめて…後は、新しいメニューも考えてみる」

「よしっ。とりあえず鍵閉めて、作戦会議やっ」




私たちの作戦会議は、裕くんのお店で行われる


お決まりのテーブル
お決まりの飲み物と食べ物

手をつける前に、裕くんと信ちゃんの元へ


「今日は、ありがとうね。2人のお友達、たくさん来てくれた」

「そぉか、それは良かったわぁ」

ニコニコ満足顔の裕くん


「A、これだけは覚えとけ」

いつになく真剣な表情の信ちゃん


「仕事はな？“縁”や。いろんな人と仲良ぉなり。こいつ合わへんな思う相手でも、人間 いっこはええとこ持ってんねん。そこ見つけて、うまくやってみ？
そしたら、そいつが案外ええ仕事 してくれたりするから。

こいつと付き合ったら、損か得かなんて、考えんな」


「うん、わかった」



お店に足を運んでくれたお客さん全ての方に、感謝の気持ちを これからも忘れずに……


改めて、そう 思った

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