触れ合う フェイタン ページ4
「フェイタン！！」
人なんてそうそう近寄らない廃ビルが並ぶ道を歩いていると
頭上からAの声がした
上を向けば、Aが身を乗り出して
ビルの 割れてガラス窓が無くなった所から顔を覗かせている
何やってるか、と聞こうとする前に
Aはより一層身を乗り出して言った
「受け止めてー！」
突然Aが頭から落ちて来たのでギョッとしながらも
フェイタンは胸と両腕で受け止める。
もし受け止めなかったらどうするつもりだったのか。
「……A、お前前より重くなたね」
「えー？気のせいじゃない？あ、成長期かも！」
「お前はもうとくに過ぎたはずよ」
地面に下ろせばAはフェイタンの手を引き歩き出した
「なぜビルにいたか？」
「フェイタンが見当たらないから探そうと思って。ほら、ビルの高い所なら遠くまで見渡せるじゃん？」
そしたら偶然Aが登ったビルの前をフェイタンが通りかかったらしい。
Aは依然とフェイタンの手を引き続けたままである。
繋がれた手から伝わってくる彼女の体温が心地よいが
自分の心臓が高鳴っているのは、多分気のせいだと思う。
「フェイタン何してたの？」
「別に。暇だたから気晴らしに散歩よ」
「じゃ私も散歩する！」
ニコニコと聞こえてきそうなほど笑いが先程から絶えないAの顔を見ると
なんだか自分の体温が上がって来た。なぜ。
そういえば、出会った当初はAのテンションについていけなかったり気に食わなかったりで
無視や冷たく遇らうことが多かったりしたことがあった。
でも最近はそんなことをしようとは思わない。
Aが笑ってくれればそれでいい気がしてきたのだ。おかしい話である。
「お前といると、変な気分になるよ」
「ん？」
先行を歩くAの肩を掴む。
そのまま優しく側まで引き寄せ、顔を近づけた。
唇がそっと触れる。
顔を離すと、Aは突然のことで固まってしまい
目を閉じずにいたようだった。
それが可笑しくて、フェイタンはフッと笑う
顔が、体が熱い。
「フェイタン…？」
「嫌だたか」
「ううん、なんか変な感じ」
「なら、もう一度ね」
そっとAの後頭部に触れて引き寄せる。
今度はAも目を瞑った
先程より少し長く、触れ合う。ただそれだけにしておいた。
顔が離れると、Aは笑って言った
「こんなところでキスなんて、雰囲気めちゃくちゃだね」
「構わないよ。ワタシ達に雰囲気なんて必要ないね」
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作者名：こんぶ豆 | 作成日時：2017年4月16日 9時
