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冬の空 イルミ ページ13

はぁ、と溜息をつけば
真っ暗な夜空に白い息が広がった



1月中旬の寒さは絶え間なく身体を突き刺し
そこに昨夜からの悩み事も加え憂鬱な気分になって空を見上げる


街灯もない所だからか星が綺麗に散りばめられている。
感動すべきことなのかも知れないが今の状況では全てが霞んで見えてしまうのだった




そのまま道通りを歩いていると
雑草で段差の境がハッキリと見えなくなった先へ続く階段が目の前に現れた


雑草どころか真夜中なので全く足場が見えない。
だがそんなことは構わずダンダンと音を立てるように階段を下る

が、ほぼ土の被った階段なので無理矢理たてた足音は鳴らない。
そのことで余計にむしゃくしゃして思いっきり足を段に降ろす




「ぎゃっ」





思わず段を踏み外してしまった。
情けない声をあげて滑り落ちる。
受け身なんて取らないまま後ろから倒れ、頭を地面に打ちつけた。

痛い。





「あーもう!イライラするなぁ!!」
「田舎道だからって夜中に大声ださない方が良いよ」
「ぎゃあ!」




本日2度目の叫び声をあげる。
気配もしなかったのに急に人の声が聞こえてきたのだから当たり前だ。


体を起こして後ろを見ればイルミが立っていた




「なんだイルミか。仕事の帰り?」
「そんなとこ。で、何してるの」
「階段から滑り落ちた」
「まぁ見てたから知ってる」



じゃあ聞くなよ!と声を上げそうになったがぐっと堪え
転んだことで体についた土を払いながら 立ち上がった




「なんか怒ってるみたいだね」
「まあね」
「何があったの」
「……………太った」



なんだそんなこと、と表情には出さないでイルミは呆れた。

男からしたらそんなことかもしれないが女にとっては重大なことなのだ。
そういう態度がまた自分をイライラさせる。



「まぁ太るだろうね。Aの食欲凄いし」
「ストレスだよストレス!」
「ストレスで男の俺の2倍食べるんだから当然の報いでしょ」




そのままイルミはその場を離れようと歩き出した

無表情のまま淡々と自分を貶すこの男をどうしてしまおうか。
殺意まで芽生えそうな勢いで憤りを感じる




ぐぬぬぬぬ…と唸り声をあげる私に
イルミは突然立ち止まる。


すると
ほら、と手を差し伸べてきた




「…何?」
「手。また転んで怒声上げられても困るし」




困るなんて。
そのまま私を放って帰れば困るも何もないのに


この男のこういう些細な優しさが私の心を和ませるのだろうな

だから貴方を好きになった

嫌い フェイタン ※→←消えた足跡 クロロ(リクエスト) ※



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作品ジャンル:アニメ
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咲花月 - ゴン=フリークスの恋人設定を見たいです! (2020年3月16日 20時) (レス) id: 0afe77f0fc (このIDを非表示/違反報告)
湯花 - イルミ、見たいです! (2019年8月14日 21時) (レス) id: 85323637f5 (このIDを非表示/違反報告)
千影 - イルミで、新婚という設定でお願いします! (2018年1月24日 22時) (レス) id: 6a10e66d36 (このIDを非表示/違反報告)
クラピカ - クロロの「大切なものも守れない」で涙腺崩壊....めっちゃ泣きました...!キュンキュンするのもあるし、泣けるのもある、笑えるのもある!最高の短編小説です!まさに理想! (2018年1月3日 7時) (レス) id: 423cdf7227 (このIDを非表示/違反報告)
フェイタン天使(プロフ) - クロロの消えた足跡の続きがすごく気になって仕方が無いですw主人公が誰に殺されたのか?もすごく気になってしまいました (2017年8月11日 23時) (レス) id: 62074102ab (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こんぶ豆 | 作成日時:2017年4月16日 9時

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