【H×H 短編】愛は最上なり。

人の気も知らないで 夢主ver ページ2

先月2月14日、キルアにチョコを渡した


本命チョコの反応が見たくてワザと適当に渡してみた。
そしたらキルアは平然とした顔で「ん。」とだけ返事をし、受け取った



何なんだこいつ、平気な顔しちゃって。

それ、高かったんだぞ。本命チョコなんだぞ。気づいてない？
もしかして『俺は貰うのが当たり前』みたいなこと思ってるんでしょ。

いや、キルアはそんな性格じゃないことくらい知ってる。知ってるけど悔しい。



それから今日のホワイトデーまで、キルアの態度は一切変わってない。

やっぱり本命だということに気づいていなかったのか。
キルアは元々お坊ちゃまだし、金銭感覚もおかしいから
私から見た高級チョコなんて、キルアから見たら庶民の物だったのか。
…あり得る



悶々としながらテレビを見つめ続け、煎餅を頬張り続けていれば
急に頬に何かを当てられた。ぬるいよこれ。
でも一応、反応しておこうと飛び退いてみた。



「わ、あったか。何これ」
「バレンタインのお返し」


は？舐めてんのかこいつ。
私はあんなにもお前に貢いだというのに。たかが150Jもしないココア１缶って何なんだよ。


しかも渡し方。投げて渡すとか何考えてんの。

そんな気持ちを悟られないように笑顔でそれをキャッチする。



「有り難く飲めよ」
「おーありがと」



有難い？何が？ココアが？キルアの気持ちが？
わかんないでしょ、ココアだけじゃ。
なんとか言ってよ。偉そうな言葉キメてないで。



無性に腹が立って、それでも顔に出してはいけないと
隠すようにグビグビとココアを飲み干した。
おいしい。腹立つ。



「あー美味しかった」
「大切に飲めよ馬鹿」
「えー」



ココアで大切って何なの。馬鹿はお前だバーカ。


キルアは何事もなかったように踵を返して行った。

何これ、なんだか私だけ変に意識して悶えちゃってさ。
これじゃ私がおかしいみたいじゃん。
でもこういうのが、キルアらしい。むかつく。





人の気も知らないで。




空になった缶を握り締めながら、低めのテーブルの上にある手鏡に映る自分の顔をのぞいてみた。





顔が、赤い。





＊＊＊

キルアと夢主のすれ違い
考えることは2人とも同じ

振り回される クロロ→←人の気も知らないで キルア

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