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人の気も知らないで キルア ページ1

一室に、Aが食べている煎餅の咀嚼音と
テレビから聞こえる笑い声だけが鳴り止まないでいる。




そんな中キルアは1人で悶々と悶え苦しんでいた

問題はただ1つ、どうやってこれを渡すか。
そうしてキルアは自身の手にある物を見つめた




先月2月14日
その日ソワソワしていたが、こいつに期待するだけ損だろうと
キルアはAからそんなものを貰うとは微塵も思っていなかった。


それなのに、Aは
リボンがラッピングされた豪華な包装紙に包まれるチョコを渡して来たのだ。


一瞬キルアはそれを受け取る時、義理チョコというものを想像したが

以前キルアが買い物に行った時に見かけた『本命のあの人に愛を込めて』という店員の紹介紙が書かれたコーナーにあったチョコが
Aの渡して来たものと同じことに気がついた。


だが、そんな物を渡してきた当の本人は
全く恥じらいの一切ない顔で
「あ、そうだ。はいチョコ」と阿呆らしい表情で渡して来やがったのだ。




キルアは回想を終了し、ソファーでテレビを観ながら煎餅を食べているAに視線をチラリと向けた。

まるで
今日がホワイトデーなんて気づいてません、というような顔である。



こいつは一体なんなんだ。
本命チョコを渡してきた癖にそんな態度で今日を過ごすつもりか。

というよりチョコを渡して来た日から一切Aの態度は変わってないのだ。
やはり本命ではなかったのか。
あの日、本命チョコという店の紹介紙なんて見ないで、適当に目立ったチョコを買ってきただけだったのか。
…あり得る




結局、お返しのチョコもなんだか恥ずかしくて買えなかった現在に至る



キルアは溜息をついて
手にあるチョコの代わりの缶ココアを持ちながら背後からAに近づき
彼女の頬にソレを当てた


「わ、あったか。何これ」
「バレンタインのお返し」



飛び退いた彼女に向かって 投げてココアを渡し、それを何事もなくキャッチされる。
キルアは平然を装って偉そうに言った


「有り難く飲めよ」
「おーありがと」



本当になんだこいつ。お返しがココア1缶ってことに文句無いのかよ。
なんか言えよ。礼じゃなくて。


段々Aに腹が立ってきた。
再び見ればAはグビグビとココアを飲み干していた。



「あー美味しかった」
「大切に飲めよ馬鹿」
「えー」




可笑しそうに笑うA。





くそ、人の気も知らないで。


踵を返しながら、キルアは自分の顔に手を当てた。




顔が、熱い。

人の気も知らないで 夢主ver→



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作品ジャンル:アニメ
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作者名:こんぶ豆 | 作成日時:2017年4月16日 9時

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