SODA LOLLIPOP

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蓮の手を牽いて
夕方の朱く染まっていく道を
お互いに無言のまま歩く


目的の場所までたった15分
たったそれだけの短い時間なのに
何十分も何時間も歩いているような感覚になって

唯でさえ蓮と近くにいるだけで
未だにドキドキするというのに
抱きしめたり、手を繋いだり……




下校途中の小学生に冷やかされる度に



ああ、早くついてしまいたい
駄目、まだ少し2人で居たい


相対する気持ちがぐるぐると回って
私の頭の中はパンク寸前だった







それでも歩けば目的地に着いてしまうわけで
その場所を目にした蓮は少し驚いた顔を見せる






｢…………此処、｣

｢懐かしいよね｣






"美咲中学校"



私が蓮に出会った場所
いっぱい笑って、時には泣いて


中学生の時からもう既にサックスを吹いていた
蓮の姿に一目惚れをした私

蓮に告白されるまでの3年間
渚に言わせると長い！らしいけど
私達の色々思い出が詰まったもう一つの大切な場所







まだ途切れない蓮の手を
少しきゅっと握りしめて

もう日が沈みかけている学校にはいるのは
ちょっぴり勇気がいるけど


"アレ"があるその場所まで
蓮を引っ張って連れていく





階段を上り詰めて
扉を開ければ
少しひんやりとする風が私達を包む

着いたと同時に離れたその手にも冷たい風が当たる







中学生の頃から屋上を占拠していた裕人と蓮
卒業してからも改めて来てみれば
使っていた少し錆びた机も
読みかけの色褪せた雑誌も、何もかも残っていた







｢………………あった、｣



勉強机の中に仕舞われていた"アレ"

……蓮が何度も練習して
色んな所が破れていった楽譜集を
取り出して蓮に渡す

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