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その後、蛍から4人を紹介してもらった。夏休みの遠征のときにお世話になったらしい。


「で、僕の彼女のAです。手出さないでくださいね、黒尾さん」

「僕は紳士なのでそんなことしません」

「.........」

「んな冷たい目で見んなよ!」


がやがやと騒がしい中で、彼女というワードにどうしても胸が高鳴る。ポンと頭の上に乗った手から伝わる熱に、体温が上がる。あ、やばい、今絶対顔赤い。


「なあ!!」


赤い顔を見られないように俯いていたら、木兎さんに声をかけられた。顔を上げると思ったより近かった木兎さんとの距離に、思わず後退る。


「木兎さん、距離が近いです。ごめんね」


赤葦さんにそう言われ、一歩だけ下がった木兎さん。でもまた身体を前のめりにする。距離変わってないよ...


「Aちゃんって夏合宿の前にツッキーと付き合った子だよな?!」

「え、あ、はい...」

「木兎さん、お願いですから余計なこと言わないでください」


蛍が焦ったように木兎さんの言葉を止める。蛍のらしくない姿に首を傾げた。


「ツッキーってAちゃんのこと大好きだよな!!」

「...へ?」


思わず蛍を見上げると、蛍は掌で自分の目元を隠し、しゃがみ込んでしまった。

そんな蛍の姿を見て、黒尾さんはにやりと笑った。


「そうそうそう、一緒に自主練してたんだけど、休憩中とかずっとスマホでAちゃんの写真見てんの。その姿がもう微笑ましいんだわ」

「俺がこの子可愛い!って言ったら、可愛いですよね、知ってますなんて惚気てくんの!!」

「疲れててもAちゃんと電話した後は元気だったしな〜彼女パワーはさすがだな〜」

「ちょっと、そろそろ辞めましょう」


赤葦さんが止めるまで、木兎さんと黒尾さんの口から出てきた事実に、体温がぐんぐん上がる。赤くなった顔を隠すためにまた俯いた。


「木兎さん、黒尾さん、覚えといてくださいよ」

「やば、ツッキーまじ怒りだ」

「じゃ、俺ら昼飯だから」

「あ!黒尾逃げんな!!あかーしも行くぞ!」


嵐のように去って行った。いや、この空気どうしたらいいの。

蛍はまだしゃがんで俯いたまま。私も蛍の横にしゃがんで、蛍の頭に手を乗せた。


「ごめんね、あの先輩たち。うるさくて」

「楽しい人たちだね」

「何か、変なことしてごめん」


覗くように私を見る。その目は自信が無いようだった。


「恥ずかしかったけど、嬉しいよ」


蛍は顔を上げる。そしてまた優しく笑った。





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作者名:いおり | 作成日時:2021年9月23日 23時

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