稀咲の狙い ページ38
「カタ付けようぜ
「ちっと詰めが甘かったか……」
呟いたイザナが「稀咲」と声をかける。
「分かってる」と頷いた稀咲。
何?と不思議に思っていると、マイキーとイザナのタイマンが始まった。
東卍と天竺の頂上対決にみんなが息を飲む。
イザナに憑いているのは準2級の呪霊。
今のところマイキーの呪霊は大人しくて姿を現していない。
このまま何事もなければいいけど………と心配になる。
そんな中、先ほどイザナから声を掛けられていた稀咲が真っ直ぐこちらに歩いてくる。
不思議に思って稀咲を見ると目が合った瞬間、名を呼ばれた。
「佐野A」
「あれ?話すのは初めましてよね?気安く話しかけないでくれる??」
「あの時、エマを仕留め損ねただけでなく、邪魔が入ったせいでオマエには届きすらしなかった。……このケツはテメェで拭う」
「……?どういう意味?」
仕留め損ねた?
邪魔が入った?
つまり、稀咲はエマだけじゃなくて、私も狙ってたってこと?
その憶測に辿り着いた途端、私に少しの焦りが滲む。
「っ!」
つまりコイツは、ころすつもりで私に戦いを挑んでいることになる。
何のために?
「おい!稀咲!!テメェ、Aにまで手ぇだそうとしてんじゃねぇぞ!!」
私たちの異変に気付いたドラケンが、私の前に出る。
「待ってドラケン!!」
バッとドラケンの肩を掴んだ私は彼に耳打ちする。
「稀咲には3級の呪霊が憑いてる。ここは私に任せて」
「は?いや、そうは言ってもよ、いくらオマエでも稀咲相手はキツいだろ」
「キツくてもやるしかないの。それに祓うチャンスでもある」
「分かった。けどな、アイツはエマをあんな目にした相手だ。やるならオレもやる」
力強い瞳が真っ直ぐ私を見ていた。
「ドラケン……」
アンタ、そこまでエマのこと想ってくれてたんだね。
「こそこそと…話し合いは終わりか?」
稀咲が私たちを睨み付ける。
その後ろから、見覚えのある兄弟が歩いてきていた。
「待てよ、稀咲。Aはオレたちのだ。勝手に手ぇ出すんじゃねぇ」
「あ?」と不機嫌そうに振り返る稀咲。
私はと言うと「げ!」と声をあげる。
「こんなとこでAと会うなんてな。今日はこの前の白髪野郎とかは来てねぇの?」
「蘭……、竜胆……」
珍しくそれぞれ顔面に傷を作ってる。
東卍の誰にやられたのかは分からないけれど、あの灰谷兄弟の顔面に一撃を入れるなんてすごいじゃない。
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月見(プロフ) - 夜空ゆーたおさん» 楽しみに待っていてくださって、ありがとうございます(*^^*)先ほど1話更新しました! (2023年3月26日 8時) (レス) id: 9508b2817a (このIDを非表示/違反報告)
夜空ゆーたお(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2023年3月25日 2時) (レス) @page22 id: d76bc8bfcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2023年2月1日 20時