私の秘密 ページ35
「へ…?」
「タケミチくんそれを止める為に、未来から来たんです」
「み、ら……い?」
ヒナが12年後にしぬ?
未来から来た?
未来の事なんて、タケミっちに分かる筈ない。
そう思うのに、私がそれを完全に否定できないのは、紛れもなく私自身が術式で未来を覗けるからだ。
それに、その話が本当ならタケミっちが言っていた『過去で……こっちでしんじまったら救えない』の言葉の意味が分かる。
タケミっちにとって“今”が過去だとしたら、辻褄が合うからだ。
けれど、本当にそんなことが可能なわけ?
特に呪術師でもないタケミっちが、未来から来た事になる………
私は思わず唾を飲み込む。
するとヒナがまた話始めた。
「ウソみたいな話ですよね……。でも、本当です…。彼、必死だから。皆を助けたいと思ってる」
その言葉にタケミっちと会ったときの事を次々と思い出す。
確かにタケミっちはいつも必死でボロボロだった。
それでも諦めようとはしなかった。
タケミっちが未来から来たから呪力を知ってたんだとすると、恐らく未来で私たちの誰かから聞いたんだろう。
弟も思い当たることがあるのか、それまでずっと俯いていた顔をハッと上げた。
「それなのに私は、彼のために何もできない……」
ポロポロ涙を溢して、自身の手をキュッと握るヒナ。
私は車椅子から立ち上がると彼女を抱き締める。
「そんなことない。ヒナの存在がタケミっちに力を与えてるんだよ」
「Aさん…っ」
「お、おい!A!お前頭打ってフラついてんだろ!!座ってろ!!」
ドラケンが焦ったように私に近付くと、支えるように私の肩を持った。
「あー、それならもう平気なんだよねー」
ヘラリと笑うとドラケンが呆れた顔をする。
「はぁ?なに可笑しなこと言ってんだよ?」
「うーん………。よし!決めた!!」
少し悩んだけれど、ヒナが勇気を出してくれたから、私も決断して声に出す。
「何を?」とドラケンが聞いてくる。
「タケミっちの秘密を教えてくれたヒナには、特別に私の秘密を教えちゃう!!」
「え?」
「…姉貴、いいのか?」
目を見開いたマイキーが尋ねてくる。
「まぁ、本当は規定違反で駄目なんだけど。タケミっちの秘密をもっと詳しく知りたいし、ドラケンにもどうして私が平気なのか、教えてあげないと可哀想でしょ?」
そこまで言うと私はドラケンとヒナに向き直る。
「二人とも、今から話すことはここだけの話だからね」
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月見(プロフ) - 夜空ゆーたおさん» 楽しみに待っていてくださって、ありがとうございます(*^^*)先ほど1話更新しました! (2023年3月26日 8時) (レス) id: 9508b2817a (このIDを非表示/違反報告)
夜空ゆーたお(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2023年3月25日 2時) (レス) @page22 id: d76bc8bfcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2023年2月1日 20時