ヒナの勇気 ページ34
「探しましたよ!入院の手続きをしますからこらへ」
告げた看護師さんに私は車椅子ごと連れていかれた。
そうして書類やらの確認をさせられると病室に連れられて今に至る。
「うーん…」
正直、硝子に治してもらったからもう元気だし、夜だから後はこのまま眠って明日の午後には高専に帰るだけ。
けれど………心配だ。
放心状態のマイキーもそうだけれど、タケミっちのことも…………アイツ、絶対無茶する顔だった。
「………。」
このまま大人しくしてるなんて、私には出来ない。
そう思った私はベッドを抜け出すと、最後にマイキーを見た場所へ向かう。
するとやはりまだマイキーはそこにいて、離れたところにドラケンも立っていた。
タケミっちが言うには今日は抗争があるらしい。
けれどここにいるってことは、二人ともエマが目を覚まさないかも知れない事実をまだ受け入れられていない。
勿論、私も。
車椅子でマイキーの前まで向かう。
「マイキー、……いつまでそうしてるつもり?………とりあえず、家に帰りなよ。明日の朝までは私がエマの側にいるから………」
「………。」
話しかけても返事がない。
「マイキー………ごめん。私のせいだ。…私、エマが危ないって分かってたのに。防げなかった……」
ドラケンに聞こえないように口にする。
私の目からポタッと涙が溢れ落ちた。
「姉貴のせいじゃねぇ………」
漸く聞こえたマイキーの声はとても弱々しい声だった。
「あの、……少し…話してもいいですか?」
そんな声に顔を上げると、ヒナが不安そうに右腕を握りながら立っていた。
「タケミチくんは…こうなる前にエマちゃんを救えたハズだって思ってます」
「おい!!」とドラケンが顔色を変えてヒナを呼ぶ。
「テメェそんな話すんじゃねぇよ!!」
ヒナが震えている。
きっと、勇気を振り絞って声を掛けてきたんだ。
「ドラケン、落ち着いて……」
私の声でつい叫んでしまったドラケンもハッとしたらしい。
「っ、今はそっとしといてくれ……」
他の言葉を飲み込むように告げたドラケンにヒナが続ける。
「エマちゃんだけじゃない。タケミチくんは救わなきゃって思ってる人が沢山いる」
「…?それは?」
もしかして、さっき病院に向かう時に交わしていた会話と関係あったりする?
「だから、何を…!!」
少しイラついたドラケンが尋ねた後、ポツリと呟かれた言葉は突拍子もないものだった。
「私、12年後にしぬんです」
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月見(プロフ) - 夜空ゆーたおさん» 楽しみに待っていてくださって、ありがとうございます(*^^*)先ほど1話更新しました! (2023年3月26日 8時) (レス) id: 9508b2817a (このIDを非表示/違反報告)
夜空ゆーたお(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2023年3月25日 2時) (レス) @page22 id: d76bc8bfcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2023年2月1日 20時