タケミっちの決意 ページ33
「マイキーくん、こんな時にこんな話……って思うかも知れないですけど、今日は天竺との決戦です。…みんなマイキーくんの号令がないと動けません」
マイキーをソファーに座らせたタケミっちがそう告げた。
「天竺?誰のチーム?」
そんなチーム名初めて聞いた。
「イザナです」
「えっ!…イザナ!?」
久しぶりに現れたと思ったら、二番目の兄がチームを持っていたなんて思いもしなかった。
「マイキーくん、Aさん、エマちゃんを襲ったのは………稀咲です」
「知ってる。私、見たから」
「そうだったんスね。……でも、アイツの事だから悪知恵働かして絶ッ対ェ捕まりません」
「ハハハ……そうかもね」
タケミっちは私とマイキーに話しているのに先ほどからマイキーはまるで心ここにあらずで、返事は愚かピクリとも動かない。
「オレは一人でも天竺とやります」
「はい?待ってタケミっち、イザナは元黒龍の総長だよ?」
「知ってます」
「他に誰が天竺にいるのか知らないけど、それは無茶だって!」
「それでもやらなくちゃいけないんっスよ」
告げるとタケミっちが私と視線を合わせた。
不安や恐怖を滲ませつつも覚悟を決めた瞳がそこにはあった。
そのまま私たちに背を向けて、タケミっちが歩き始める。
タケミっちは捨て身の覚悟なのかもしれない。
「待ちなさい!タケミっち!行っちゃ駄目!!」
私はあの瞳をみたことがある。
同じ瞳をした呪術師がそのまま任務に出て、二度と戻ってこないことや大怪我を負って帰ってくるのを何度も見てきた。
だから止めなきゃいけないと思った。
けれど、いくら声をかけても振り向くことも立ち止まることもない。
私は硝子の反転術式で治してもらったから、動けるようにはなった。
けれど、怪我人の演技をしないと私を知っている医者や看護師に見られると辻褄が合わなくなる。
全く、もどかしくて不便だ。
「タケミっち!」
呼びながら車椅子を操って彼を追いかける。
と、近くから誰かがすすり泣く声が聞こえてきた。
「エマちゃん……お願いだから目を覚ましてよぉぉ」
ヒナの声だ。
そう認識した途端、車椅子を動かす手が止まる。
ヒナはここ最近よくエマと仲良くしてくれていた。
ヒナはさっき着いたばかりだからきっと、今ICUに入れられたエマと会ってきたんだろう。
そして、そこで話を聞いたに違いない。
「あっ!やっと見つけた!佐野さん!!」
後ろから聞き慣れない声が私を呼んだ。
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月見(プロフ) - 夜空ゆーたおさん» 楽しみに待っていてくださって、ありがとうございます(*^^*)先ほど1話更新しました! (2023年3月26日 8時) (レス) id: 9508b2817a (このIDを非表示/違反報告)
夜空ゆーたお(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2023年3月25日 2時) (レス) @page22 id: d76bc8bfcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2023年2月1日 20時