マイキーの呪い ページ17
ドン!!!
大きな銃声が廃墟に響く。
タケミっちに馬乗りになって、その顔面に拳銃を突き付けていた佐野万次郎の身体がドサッと倒れた。
僕の直ぐ傍にいた直人が、躊躇いもなく佐野万次郎の頭を撃ったからだ。
真面目な刑事に見えて実はイカれているのかも知れない。
ハッ、ハッ、と息を切らすタケミっち。
「大丈夫ですか!?タケミチくん!!」
声を上げて近付く直人。
取り憑いていた人間が撃たれたことで、呪いがざわざわと暴れる。
力が膨れて破裂しそうな動きを見せていた。
生死は不明だが、どちらにせよ助かる見込みは薄い。
こうなれば祓うのは簡単だった。
何故なら取り憑かれた人間を気遣う必要なく、力ずくで祓えるからだ。
タケミっちと直人が万次郎に気を取られている隙に術式を発動させる。
「術式順転・蒼」
術式でぐっと引き寄せられた黒いモヤを掴んで瞬時に上空へ移動すると、即座に次の術式を展開する。
「術式反転・赫 虚式 茈」
大きさをコントロールした力の塊が呪いを蹴散らして、そのまま遠くまで飛んで行った。
複合体の断末魔のような叫びを聞いたあと、そっと元の場所に降り立つとタケミっち達の傍に寄った。
「橘ナオトか…」
佐野万次郎に言い当てられた直人が驚いた表情を見せているところだった。
近付いて初めて気付く。
コイツの持っていた拳銃には安全装置がかかっていた。
タケミっちをやるつもりはなかったってことか………
「………ありがとう。たぶん…タケミっちにはムリだったから。………やっと終わるんだね。オレの人生は苦しみだけだった」
苦しみねぇ………
Aはその苦しみとやらからコイツを救うために頑張ってたんだけどな。
「そんな事言わないで、マイキーくん。オレ………変えられるから」
タケミっちの言葉に「うん?」と首をかしげる。
直人が慌てたように「タケミチくん!?」と呼んだ。
「オレ、過去に戻れるんだ。やり直せるんだ。こんな未来にならないように頑張るから。絶ッ対ェ…諦めないから!!だから、そんな悲しい事言わないでっ」
どういうことだ?
タイムリープ出来るってことか?
そう考えた時、思い出した。
タケミっちは武蔵神社の祭りの時も、ハロウィンの時もそして、クリスマスの時も必死に戦っていたことを。
「ありがとうタケミっち。オレを慰めてくれるんだな。嘘でも嬉しいよ」
先ほどまでよりもか弱い声で佐野万次郎が答える。
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月見(プロフ) - 夜空ゆーたおさん» 楽しみに待っていてくださって、ありがとうございます(*^^*)先ほど1話更新しました! (2023年3月26日 8時) (レス) id: 9508b2817a (このIDを非表示/違反報告)
夜空ゆーたお(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2023年3月25日 2時) (レス) @page22 id: d76bc8bfcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2023年2月1日 20時