隆の和平 ページ49
ここにきて千冬にめちゃくちゃ怪しまれてる。
八戒とタケミっちは誤魔化せたのに!
と、悟が急にポンッと私の肩を引き寄せた。
「え?…ちょっと!?」と驚く私に構うことなく悟が話し始める。
「クリスマスに二人きりで近く歩いてたら、Aが雪で滑って転んだんだよ」
「あぁ!それでAさんだけケガしてたんスね?」
タケミっちが納得したようにポンッと手を叩く。
「ク、クリスマスに!二人きり!?………つ、つまりデートッスか!?」
千冬がキラキラした目を向けてくる。
そういえば、千冬は男子だが少女マンガを好んで読んでいると聞く。
悟がソレを知っててそんな嘘を付いたのかは分からないけれど、変なところに火を付けてしまったようだ。
「いや、そっ、そんなんじゃないから!」
ボッと変に熱くなった私は慌てて否定する。
すると今度はまた別の意味で千冬がニヤニヤと怪しげな視線を送ってくる。
「にしても千冬!無事だったんだな!」
タケミっちが話を逸らしてくれた!
ナイス!タケミっち!!と心の中で感謝する。
「あぁ。稀咲と半間に裏切られて縛られてたところを三ツ谷くんが助けてくれたんだ」
「え!…やっぱり稀咲も来てたの?それに半間って?………どう言うこと!?圭介は……アイツのせいであんなことになったのに!!!」
私が詰め寄ると、言いずらそうに顔を歪めた二人がお互いに顔を見合わせた。
「オレだって稀咲と組むなんて嫌っスよ。でも、“八戒を止めて大寿を潰す”って目的が偶然一致したから、クリスマスまでの期限付きでアイツらと組んだんです」
千冬の言葉に「は?」と声を漏らす。
意味分かんない。
私はグッと唇を噛む。
「A、とりあえず落ち着け」
ポンッと悟が私の肩に手を乗せてきた。
そうだ、今ここで私たちが揉めてる場合じゃない。
「それにしても…なんで三ツ谷くんがここに?」
タケミっちが不思議そうに呟くと千冬がサッと答える。
「オレが呼んだ」
「へ?」
「稀咲の裏をかかねぇとな」
「裏って……バカ!!折角の和平なのに!」
「和平なんてオレらに関係なくねぇ?オレらの目的は東卍から黒龍を剥がす事だろ?」
「そうだけど…」
「三ツ谷くんの決めた和平だ。本人が破るならみんな納得する」
稀咲の裏?
和平?
千冬とタケミっちの会話は何が何だかよく分からない。
けれど、二人が考えの元に今日この場所に来たことを私は何となく理解した。
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作者名:月見 | 作成日時:2022年11月8日 22時