意外な訪問者 ページ46
「花垣武道！八戒がオレをころしたい理由が分かるか？」
悟と睨み合ったまま大寿が問い掛ける。
「アンタが家族を……柚葉を痛め付けるからだろ！？」
タケミっちが言えば、大寿が高らかに笑った。
違うの？
そう思っていると「聞いたか八戒？」と悟に腕を掴まれたままの大寿が顔だけ八戒に振り向く。
「八戒はテメェらが思っているようなヤツじゃないコイツは───」
大寿が何かを言おうとした時、「やめろお！！」と八戒の大声が響いた。
次の瞬間、大寿の後ろに人影が現れると一気に距離を詰めた。
ドッと何かがぶつかったような衝撃。
教会の入り口近くにいた八戒が、ガクッと膝を付く。
何が起きたのか顔を動かして確認すると、そこに大寿の妹であり、八戒の姉の柚葉がいた。
次の瞬間、悟の手を振り払った大寿が柚葉を殴る。
ゴッと鈍い音がしたあと、殴られた勢いで彼女の体が倒れ込んだ。
「悪ぃ、振り払われた！」
「仕方ないわ」
大寿とは言え、一般人相手に呪力を使うわけにいかない。
直後、私たちに背を向けた大寿の背中にナイフが突き刺さっているのが見えた。
「っ！？」
私と悟、タケミっちが驚く中、大寿の怒鳴り声が響く。
「柚葉、テメェエ！！やりやがったなコラあああ！！！」
ブンッと近くにあった長椅子を持ち上げるや否や、大寿が柚葉めがけて放り投げる。
長椅子は柚葉がいる少し手前の床にガシャンと大きな音を立てて落下した。
「あいつ、呪力なしであの怪力…ホントに一般人かよ………」
ポツリと呟いた悟は珍しく呪力を持たない一般人相手に驚いているようだった。
「柚葉…何でここに…？」
信じられないと言いたげの八戒が尋ねると、柚葉が立ち上がる。
「お前を助けに来た。アタシが全部終わらせる」
「何でだよ…何で来ちまうんだよ！………タケミっちテメェ！柚葉に話したな！？」
振り返った八戒がタケミっちを睨む。
「へ！？」と驚くタケミっちを庇うように柚葉が口を挟んだ。
「違う。花垣には何も聞いていない。稀咲鉄太に全部聞いた」
「…稀咲？」
何でそこで稀咲の名前が出るの？
アイツ、柚葉と親しいの？
同じチームの八戒ならまだしも、まだ東卍に入って間もない稀咲が柚葉と？
私の傍でタケミっちがバッと手で口元を押さえた。
タケミっちは何か知ってる…？
そんな疑問が沸いてくる中、大寿はナイフを抜くと上の特効服を脱いだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 136人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月見 | 作成日時：2022年11月8日 22時
