八戒とタケミっち ページ43
「……大寿と何かあった？」
柴家と言えば、兄との兄弟仲がよくない。
タケミっちの言葉から探るように尋ねると、私たちから目を逸らして「うるせぇ」と返された。
何かあったのね………
分かりやすい態度に図星なんだと悟る。
詳しい事情は分からないけれど、タケミっちは柴家の問題を知っているようだ。
そして、“何か”を止めに来たらしい。
「喧嘩か？」
「いや、たぶんそれよりももっと複雑で大きな問題よ」
悟に答えると改めて目の前の二人を見る。
東卍の特効服にたすきを掛けたタケミっちと、何故か黒龍の特効服を着ている八戒。
「…悟、少し座るよ」
グイッと彼の腕を引っ張って、私たちは少し離れた場所から様子を見守ることにした。
その間、八戒が言いづらそうにこれまで大寿にやられてきた事をタケミっちに述べている。
「家族の問題に口出すんじゃねぇ！！帰れ。テメェにオレは止めらんねぇ！」
八戒は今までの大寿への恨みを晴らすつもりなのかな？
そう考えていると、暗い顔をしたタケミっちがポツリと溢す。
「昨日、ヒナと別れた」
急な話題転換とその内容に「えっ！？」と声が出る。
タケミっちとヒナが………別れた！？
「ヒナを…守る為に別れた。…オレは弱いし、根性なしだし、どうしようもねぇバカだ。こんなオレを好きでいてくれたアイツを守るためならオレは何でもする！！」
目元を潤ませてそう熱く語るタケミっちに、私の胸も熱くなる。
「どんなに敵を恨んでも、他の道が苦しくても、ヒナが悲しむようなマネは絶対しねえ!!オイ！八戒！！柚葉はそれでいいのかよ！！？」
八戒の顔に迷いが生まれているように見えた。
「あいつ、廃車工場のハロウィンの時もそうだったけど、アツい奴だな」
悟の言葉に「うん」と頷く。
「対して強くねぇけど、そういうヤツは嫌いじゃない」
悟が呟いたとき、ガチャっと扉が開く音がした。
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作者名：月見 | 作成日時：2022年11月8日 22時
