降霊vs未来予測 ページ14
ダッと走って攻撃を避ける。
が、私の逃げた方へ角が軌道を変えた。
追尾できるらしい。
面倒だ。
それなら仕方ない。
私は避けるように大回りをしたあと、術師に向かって真っ直ぐ走ると攻撃を仕掛ける。
あと少しという所で相手に避けられたけれど、それは計算の内だ。
私は体勢を低くして足払いをすると、彼の体勢を崩す。
さっき放たれた角が、グサッと私の肩に刺さった。
「ッ！！」
恐らく、彼の術式は顔を隠す事に何か意味がある。
だから私は彼の帽子を剥ぎ取った。
「クソッ！！」
「…さっきのって、ナンパ？」
立ち上がった私は剥ぎ取った帽子片手に彼を見下ろす。
「だとしたら女性に乱暴はダメだよ」
足払いをした時に術式の発動条件を満たした私は未来予測を使用する。
すると、先どのような戦闘はせずに、素手で戦う彼の姿が視えた。
「………やっぱり、アンタにとってコレは意味のあるものだったのね」
呟いて、スッと後ろに下がる。
途端に相手が足を高く上げて、低い体制から蹴りをいれようとしていたところだった。
「なっ！今の避けんのかよ！！」
「うん。ごめんね。蹴りが来るの分かってたから。アンタが弱い訳じゃないよ？」
ニコッと笑って、立ち上がった相手を見る。
「コレは返してあげる」
ヒラヒラと帽子を振りながら言えば、目の前の人物が「は…？」表情を歪める。
「でも、少しの間眠っててね」
直後にタンッと左足で地面を蹴って高く飛び上がると、彼の頭に右足で深く蹴りを入れた。
ドサッと倒れた姿を見て、ふぅと息を吐く。
彼の体に帽子をパサッと放り投げて私はその場を後にする。
あちこちで戦闘が過激になっていた。
ドゴォン！と音がして振り向けば、悟によってミゲルが弾き飛ばされていた。
時間稼ぎと言っても限界がある。
傑の方はどんな感じだろう？
気になった私は10分後の様子を視る。
「え…？」
怪我をした傑の側に、そこにいる筈のない人物の姿が見えた。
断片的だったけれど、見間違えようがない。
何で………アイツが傑の所に？
そして、ハッとする。
『もしかすると、君の弟の近くに呪術に詳しい何者かがいるのかもしれない』
今の東卍に呪術のことを知っている人物は家族意外はいない。
その筈だけれど………
もしも、マイキーが他のヤツに話したとしたら？
やっぱり私は最初から騙されていたらしい。
そう気付いて走り出した。
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作者名：月見 | 作成日時：2022年11月8日 22時
