東卍が変わった理由 ページ2
一虎の運転する車に乗り込んだ私たち。
どこへ向かっているのかは教えてくれないまま黙っていると、タケミっちがポツリと口を開く。
「一虎くん…Aさん、オレ記憶が曖昧で…変なこと聞くかも知れませんけど、東卍は何でこんな風になっちまったんですかね…?」
その問いかけに、私も一虎も直ぐには答えられなかった。
けれど一虎が「マイキーだ」と呟いた。
「東卍が変わったのは、マイキーが変わっちまったからだ」
「そんな…他に黒幕がいるんスよね!?稀咲が裏で手ぇ引いてるだけじゃないんスか!?」
必死に尋ねてくるタケミっちに一虎が淡々と答える。
「オマエが稀咲に捕まっている間にパーちんとぺーやんがやられた。指示したのは勿論マイキーだ。三ツ谷も数ヵ月前から行方不明だ…」
「一虎、…隆も同じだよ」
私が声を発すると二人がチラッと私を見た。
「未来予測で何も視えなくなった。…隆は、もうこの世にいない」
少し目を伏せて告げると「そうか」と悲しそうな声がする。
「マイキーは東卍の旧メンバーの粛清を始めた。仲間なんてもう信じちゃいない。マイキーは巨悪だ」
ドクンと心臓が嫌な音を立てる。
私はマイキーがそうならないように、弟の呪いを解くために強くなろうと頑張ってきた筈だった。
それなのに、結局何も出来なかった。
「オレもアイツを変えちまった一人…」
「私もだよ。……弟に憑いた呪いを祓えなかった。近くにいた筈なのに、弟の暴走を止められなかった」
「二人とも協力してくれ。今度はオレがマイキーを……佐野万次郎を救いたい」
決意の籠った一虎の声に私たちは頷く。
そして、一虎はタケミチに語り始めた。
現在のマイキーの左腕である元黒龍組のこと。
彼らと一虎の因縁や彼らが生み出す莫大なお金のこと。
「稀咲と決着を付けようとしていたのは千冬だった。千冬は稀咲を追い詰めていたんだ」
「え!?どうやって…あの稀咲を追い詰めたんですか?」
それは私も気になる。
千冬と一虎が一緒に何かしていることは、未来予測で知っていたけれど、具体的なことまでは視ることが出来なかったから。
「ある日、稀咲に殺された女の弟と名乗る刑事がオレらに接触してきた」
「え?刑事が?」
「千冬とその刑事は繋がってたんですか?」
私とタケミっちの言葉に一虎が「あぁ」と頷く。
会わせたいヤツの正体→←2017年─11月19日 呪術のこと
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作者名:月見 | 作成日時:2022年11月8日 22時