私と悟のコンビ ページ41
雑魚を片付け終えた私たちは、礼拝堂の奥へと進んだ。
そこで漸く今回の目的の呪霊を見つける。
準2級って聞いていたけれど、準1級の呪いだった。
こんなに強い呪霊が生まれたのは、教会は様々な人が祈りを捧げる場所だからだろう。
大きな体なのにすばしっこい呪いだった。
刀に呪力を込めて戦うけれど、殆んど動きを目で追うのが精一杯だ。
攻撃が来る瞬間に合わせて刀を構えると、ヤツの腕を切り落とす。
そうやって、私が隙を作ると悟が攻撃を入れる。
「ギャアアア!!」と悲鳴を上げた呪霊の体が飛んでいって、壁に体を打ち付けられたあと、弱いと判断した私目掛けて走ってくる。
「まぁ、そうなるわよねぇ」
「A!」
その声を合図に相手に触れることが敵わない私は悟の未来を覗いた。
「悟!」
ニッと笑って、私は刀を握り直す。
「術式順転・蒼」
途端に駆けていた筈の呪霊の足元が浮いて、呪霊の意思とは関係なく、グンッとスピードを上げて私の方に引き寄せられていく。
スッと刀を前に突き出して、呪霊を串刺しにした。
呪霊の体が飛んで来来た反動で足元が後ろに滑る。
けれど直前で私の背後に付いていた悟が、私の手の上から刀を持つと、私の体ごと反動を受け止めてくれたから直ぐに止まった。
呪霊の腕が私の頭を狙って飛んで来たけれど、無下限を纏った悟の手によってパシッと捕まえられる。
「残念だったな」
刀にグッと呪力を込める。
それに耐えきれなくなった呪霊の体が一瞬膨らむとそのまま弾けた。
ギリギリのところで祓い終えてホッとした私は「はぁ〜」と息を吐いて座り込む。
「悟、いくらなんでも無茶すぎ!お陰で腕がビリビリしてるんだけど?」
「そう言うなよ。ちゃんと最後助けてやったろ?それに、お前なら未来が視えるから大丈夫だしな」
スッと手が差し出される。
「………。」
そんなに信頼してくれてるんだ?
そう言えば、最近こういうの多いなぁ…と思い返す。
デート以降、私と悟はなかなかいいコンビになっている気がする。
「でも、毎回未来が視られるとは限らないし、言ってくれなきゃ分かんないことだってあるんだからね?」
悟の手を取って立ち上がる。
「はいはい」と適当に返事した悟が帳を上げた。
「やっと終わったぁ〜!」
「だな」
「ってか、準1級とか聞いてないんだけど!」
悟か傑と組んでなかったら、たぶんまだ戦っていたと思う。
と言うか最悪、私は瀕死だったんだろうな。
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作者名:月見 | 作成日時:2022年11月8日 22時