真にぃの優しさ ページ9
「A、後でコイツの試運転兼ねてバイクの後ろ乗せてやるよ」
真にぃが整備中のバイクを撫でながら私を見た。
真にぃのバイクの後ろに乗れる!!
私はバイクで駆けた時の風の気持ちよさが好きだった。
特に真にぃのバイクの後ろは乗り心地最高なのだ。
「ありがとう!真にぃ!!」
*****
約束通り、真にぃは整備を終えると私をバイクに乗せてくれた。
真にぃの背中に顔を寄せるとシャツからほんのり煙草の匂いがする。
それは私にとって安心する匂いだった。
「店に来たとき、夜蛾さんのこと話そうとしてたけど、呪力とやらの訓練どうだったんだ?」
お店を出て少し走ったところで真にぃが尋ねてくる。
私が店に来たときのこと、覚えていてくれて嬉しかったし、こうやって聞いてくれる真にぃの優しさに胸が暖かくなる。
「酷いんだよ!?『まずは基礎体力だ!』とか言って、めちゃくちゃ走らされた!それから、呪骸で私のことボコボコにしようとしてくるの!私、喧嘩だったらそれなりに強いけど、呪力に関してはまだまだだから、喰らったらひとたまりもないのにっ!!」
仮にも女子相手に手加減ナシって酷くない!?
グチグチと溢れ出てくる私の愚痴に対して、相槌を打ちながら真にぃは聞いてくれた。
「私、…まだ術式すら分かんなくて、受け身とるときに咄嗟に呪力で体を守ることも出来ないのに、本当にやっていけるのかな………」
不安を溢すと「心配ねぇよ」と声がする。
「Aは出来るよ。オレの妹だからな。それにもし出来なかったとしても、オレが守ってやるよ」
「真にぃ………」
頼もしい言葉にじんわりと胸に温かさが広がっていく。
「でも、呪霊見えないのにどうやって戦うの?」
「そりゃあれだ!オレの呪霊を寄せ付けない体質でだな…」
「真にぃのは“寄せ付けない”んじゃなくて、“寄せ付けにくい”なんだからね!調子乗っちゃダメなんだよ?」
「ハハ、そうだったな」
「やっぱり私が頑張って真にぃもマイキーもエマもお爺ちゃんもみんなを守れるくらい強くならなくちゃね!」
「おう!頼りにしてるよ。我が家のヒーロー」
「もう、呪術師はヒーローじゃないってば!」
呪術界のことなんてあまり知らない筈なのに、真にぃは何時だって私が自信を失くしかけると励ましてくれた。
こんな他愛のない日が愛おしくて大切なんだってこと、私はまだ知らない。
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月見(プロフ) - ミルねこさん» ありがとうございます!こんな内容にしたら面白そうだな〜と思って書き始めたお話を気に入って貰えて嬉しいです(*^^*)最近は更新サボってしまっていたので、ここから少しずつまた再開していきますね! (2022年8月23日 22時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
ミルねこ - 好きだー!!この小説が好きだと叫びたい!(もう叫んでる)このコラボ私得でしかない…!作者様ありがとうございます。続き待ってます! (2022年8月23日 14時) (レス) id: 0b8b35e0bd (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - ツッコミ担当紫音さん» コメントありがとうございます!!面白いと言ってもらえて嬉しいです(*^^*)少しずつ更新していくので、よろしくお願いします! (2022年4月9日 6時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
ツッコミ担当紫音 - 初コメ失礼します。とっても面白いです!!続きが気になります!頑張って下さい! (2022年4月9日 0時) (レス) @page19 id: 5b8ca2bcc2 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - とちこさん» 前作に続き今作も読んでいただき、ありがとうございます!また楽しんでもらえるよう頑張りますね(*^^*)これからもよろしくお願いします😌💓 (2022年4月8日 22時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2022年4月2日 10時