君の隣に 1【東リベ×呪術廻戦】

半間 ページ42

「へー、マイキーって頭もキレるんだね。だりぃ」


知らない声がして、その場にいた全員の視線が声の主に向けられる。

煙草を咥えてやってきたその男は両手の甲に「罪」と「罰」の刺青が入っていた。

オマケに愛美愛主の増援と死神のような見た目の呪霊まで連れて来ている。

恐らく2級相当の呪霊だ。


「マジか…」と声が漏れる。


これ、祓うの難し過ぎでは？


まずアイツ、この場にいる愛美愛主の人間で一番強そうだし。

鍛練しているとは言え、強者と呪霊を相手にしながら戦うのは厳しい。

うっかり人間を呪力で殴ると大変なことになるので難易度は格段に上がる。


「誰？」と呟いたマイキーの疑問に男が答える。

「オレが誰とかどーでもいいけど、一応今“仮”で愛美愛主仕切ってる半間だ」


半間…ね。


「オマエが裏でネチネチしてるキモ男？」

そう言った弟に半間が何か言い返している。

その途中で弟が右足を蹴り上げると、相手の頭めがけて蹴り技を入れた。



筈だった。


「な…！」


マイキーの蹴りが半間の腕でガードされた。

よろける素振りも見せずに防いだ半間の姿に、ドラケンも隆も驚きを隠せないようだ。

二人の呪いが共鳴するように反応して、空気が揺れる。

「っ！」

私は一瞬身構えるけれど、それ以上は何も起こらない。


「そんなに急ぐなよ、マイキー」

半間が余裕の笑みを浮かべる。


「オレの目的は“東卍潰し”。これで“無敵のマイキー”をこの手で────────！！」


彼の話を聞いて理解する。


マイキーとドラケンが喧嘩したのは偶然じゃない。


半間はマイキーを“頭もキレる”と言っていたけれど、こんなことを考えて東卍を潰しに来る愛美愛主側も相当頭のキレる奴がいるらしい。

もし、それが目の前にいる半間だとしたら相当厄介だ。


「愛美愛主総勢100人。東卍は5人相手だ。前みたいにヒヨんじゃねぇぞテメェら！！」

半間の煽りで愛美愛主の士気が上がる。


「逃げたら追い込みかけて、歯全部なくなるまでボコるかんな！！」


その状況を想像して、痛そー…と思っていると半間が私を指差す。


「オマエ、マイキーの姉貴のAだろ？」


あぁ、またか。


「私はアンタのこと知らないけど、アンタは私のこと知ってんのね」

「男相手に負けたことねぇらしいけど、女だからって手加減しねぇかんな」


まぁ、負けたことないのは吹っ掛けられた喧嘩しか受けたことないからだけど。


「そりゃどーも」

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