真一郎と祖父の内緒話 ページ5
その日の夜。
Aとエマが眠った後、リビングでは真一郎と祖父が話をしていた。
「どうだエマは、少しはウチに慣れたか?」
「“普通にしよう”って振る舞ってる感じかなぁ」
真一郎からの返事に「そうか」と呟きながら祖父がお茶をすする。
「笑わせてやりてぇな」
エマが置かれた状況を想って、呟かれた言葉に祖父が頷く。
「そうだな」
リビングの戸口の傍で万次郎は二人の会話に耳を傾けて、万次郎なりに二人の話を理解しようと勤めていた。
「Aの方はどうだ?最近は落ち着いたか?」
「前に比べると怖がることは少ないな。けど、今でもたまに夜中に目が覚めると半べそかきながらオレのとこに来るよ」
「そうか」
「月が出てないときは寝る前から来ることもあるな。“今日はお化けがいっぱいいる”だとか言ってよ」
「………。そろそろ伝えるべきか」
悩ましい溜め息混じりの声で祖父が言う。
「なぁ、オレは見えねぇからよくわかんねぇけど、Aが見てるモンって何なんだ?」
「ワシも詳しくは分からんが、………あれは幽霊ではなく。呪霊と呼ばれている」
「呪霊…?」
「ウチの家系にはたまに出るらしい。呪力と呼ばれる力を持った者が。…ワシの爺さんもそうだった」
初めて聞く言葉に真一郎は勿論、万次郎も首を傾げて頭で考えを巡らせる。
どこか現実離れした会話だった。
「オマエは体質的に呪霊を寄せ付けにくいようだが、気を付けろ。呪霊にも弱いものと強いものが存在する。強いものが相手だとオマエの体質も効かん。下手すると怪我だけでは済まんぞ」
「オイオイ、脅すなよ」
真一郎がハハハと苦笑いすると、真剣な声が響く。
「脅しではない。現に昔、オマエがAと眠っている間に怪我した事があっただろ」
「あー、あれな。目が覚めたら腕に引っ掛かれたキズがあってビビった」
「甘く見るな。ただの怪我ではない。………Aももうすぐ小学生だ。そろそろ本人に話すべきだろうな」
万次郎は頭の中で二人の会話を整理する。
難しくて良く分からないがハッキリしていることは、Aにはオレたちにはない特別な力があって、オレたちには見えないものが見えるということだ。
今の万次郎にはそれぐらいのことしか分からなかった。
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月見(プロフ) - ミルねこさん» ありがとうございます!こんな内容にしたら面白そうだな〜と思って書き始めたお話を気に入って貰えて嬉しいです(*^^*)最近は更新サボってしまっていたので、ここから少しずつまた再開していきますね! (2022年8月23日 22時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
ミルねこ - 好きだー!!この小説が好きだと叫びたい!(もう叫んでる)このコラボ私得でしかない…!作者様ありがとうございます。続き待ってます! (2022年8月23日 14時) (レス) id: 0b8b35e0bd (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - ツッコミ担当紫音さん» コメントありがとうございます!!面白いと言ってもらえて嬉しいです(*^^*)少しずつ更新していくので、よろしくお願いします! (2022年4月9日 6時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
ツッコミ担当紫音 - 初コメ失礼します。とっても面白いです!!続きが気になります!頑張って下さい! (2022年4月9日 0時) (レス) @page19 id: 5b8ca2bcc2 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - とちこさん» 前作に続き今作も読んでいただき、ありがとうございます!また楽しんでもらえるよう頑張りますね(*^^*)これからもよろしくお願いします😌💓 (2022年4月8日 22時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2022年4月2日 10時