話がしたかった ページ28
─虚式 茈─
ボタボタッとAの腹から血が滴り落ちる。
周りに被害を出さないよう小さくコントロールしたエネルギーの塊は彼女の腹を突き抜けていった。
「バカ、…何で心臓狙わなかったの………」
ゴフッと血を吐いて、その体が膝から崩れ落ちる前にそっと抱き留めて座り込む。
「お前と…Aと話がしたかった」
「……っ、十分、話した………で、しょ………」
いいや。話してない。
まだ何も話せてない。
誰にも邪魔されたくなくて、Aの幼なじみは予め気絶させておいた。
これで、ゆっくり話せる。
目の前で痛みと苦しさから顔を歪めるAの額に自らの額を合わせる。
「ずっとお前が好きだった」
高専時代から胸に秘めていた想いを吐露する。
自分の中に芽生えていた気持ちを中々認められずに、ここまで来てしまったのだ。
「……知って、る」
「え」
寝耳に水だった。
「硝子と、傑が……そうじゃないか、って。………傑、言ってた、…好き、だから……あんな態度、取るんだ………て。…最初は、……信じられ、……なか、った………」
呼吸がだんだん荒くなって息も絶え絶えの彼女が教えてくれる。
「遅い………っ、よ」
ぶわりと彼女の目から涙が溢れる。
つられて目の周りが熱くなって、目に涙の膜が張る。
「悟の………っ、綺麗な目が………好き、だった………」
最後にそう残して、彼女の瞼が閉じられる。
告白に対する返事とも取れなくもないが、その答えはハッキリしないまま、彼女が二度と口を開くことはなかった。
ポタッと彼女の頬に水滴が落ちる。
僕は最低な奴だ。
一方的な欲を満たすために、苦しむ方法で彼女の処刑を実行したのだから。
僕らは………何でこうなったんだろうね。
ただ4人でいつまでも居たかった。
Aともっと話をして、彼女の隣に居たかった。
普通の生活とはいかなくても、Aと一緒に………なんて夢を見て過ごしていたかった。
ただそれだけなのに、何時からか彼女は家族である弟の抱える闇の方に飲まれていったのだ。
もしも、あの頃に戻ってやり直せるのなら……………
なんて。
例えやり直せたとしても、呪術界で生きる僕らには無理な話しだろうな。
腕の中の愛しい人が冷たくなるまで、ぼーっと座り込んだあと、彼女の体をぎゅっと抱き抱えて立ち上がる。
夜の闇に紛れて歩みを進めた。
─Bad Endの未来─終─
※このお話はまだまだ続きます。
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月見(プロフ) - ミルねこさん» ありがとうございます！こんな内容にしたら面白そうだな〜と思って書き始めたお話を気に入って貰えて嬉しいです(*^^*)最近は更新サボってしまっていたので、ここから少しずつまた再開していきますね！ (2022年8月23日 22時) (
レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
ミルねこ - 好きだー！！この小説が好きだと叫びたい！（もう叫んでる）このコラボ私得でしかない…！作者様ありがとうございます。続き待ってます！ (2022年8月23日 14時) (レス) id: 0b8b35e0bd (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - ツッコミ担当紫音さん» コメントありがとうございます！！面白いと言ってもらえて嬉しいです(*^^*)少しずつ更新していくので、よろしくお願いします！ (2022年4月9日 6時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
ツッコミ担当紫音 - 初コメ失礼します。とっても面白いです！！続きが気になります！頑張って下さい！ (2022年4月9日 0時) (レス) @page19 id: 5b8ca2bcc2 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - とちこさん» 前作に続き今作も読んでいただき、ありがとうございます！また楽しんでもらえるよう頑張りますね(*^^*)これからもよろしくお願いします😌💓 (2022年4月8日 22時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月見 | 作成日時：2022年4月2日 10時
