君の隣に 1【東リベ×呪術廻戦】

勝敗の行方＿油断と高揚感 ページ17

油断した。
俺がチビでひょろい女に負けるなんてあり得ねぇ。

五条は悔しい思いで約三十分前の出来事を思い返す。



一発目はAから仕掛けてきた。

拳の入れ方からして多少鍛えてるらしいが、そこら辺の呪術師と変わらない。


「おらよっ！」

楽勝だと確信して傑の攻撃をかわしたあと、Aに拳を飛ばした。

ところが、サッと腕でガードの体制を作られて拳をいなされる。


へぇー、やるじゃねぇか。


体勢が一瞬崩れる。

が、問題ない。


何しろこっちには無限がある。


首の後ろに呪力の気配を感じて振り向く。


左目が驚いた顔のAの顔を捉えた。

瞬間、飛び退くと旦距離を取ってくる。

その間にも傑が呪霊を出して攻撃は止まないが俺には関係ない。


生意気なあの女にギャフンと言わせたかった。


「何だよ、もう終わりか？あんなに偉そうに言ってたくせに大したことねぇな？」

ハハハと笑ってAを誘う。


頭に血が昇ってカッとなったヤツは真っ直ぐ俺に飛び込んでくると確信していた。

案の定、ダッと地面を蹴ると傑の後ろから飛び込んでくる。


俺の顔面目掛けて拳を振りかざしながら、タンッと左足で地面を蹴って高く飛び上がる。


でも残念。当たらねーよ。

ニッと笑ってみせる。


勝った。


そう確信した時、Aが空中で体を捻ると右足で側頭部目掛けて蹴りを入れてきた。


咄嗟に受け身を取るが、体が蹴られた方へ倒れる。


は…？嘘だろ………？

あの体制から動けるのか？


地面に座り込んで、低い体制でトンっと着地した目の前の女を見る。


「やっぱり、油断してるときは無限出してないんだね」


ニッと笑うその姿に腹が立つ。
だがそれと同時に高揚感が沸き起こった。


「あれ〜？怒らせちゃった？ごめんね？？」


Aの言葉にハッとして立ち上がる。


「や、やりやがったな！！」


「そこまで！」


夜蛾の制止で俺たちは動きを止める。


「勝者は佐野・夏油ペアだ」


「はぁ！？何でだよ！！」

「悟、自分の力を過信して油断したな？今のが実践だったら、Aの蹴りのあと、他の敵にやられてもおかしくないぞ」

「だからって、まだ決着付いてねーだろが」

「いーや、オマエたちの敗けだ。Aの飛び蹴りが入った時点で決着は付いたんだよ。何しろ一人、勝負を放棄しているヤツがいるからな」


その視線を辿ってグラウンドの端に目を向けると硝子の姿があって、俺たちの視線に気づくと「やっほー」と手を振っていた。

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