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私が居た名前ももう思い出せない組に居た頃は暴力を振るわれ食事も真面に貰えない私に唯一手を差し伸べてくれていたというのに。希望で、救いで、ヒーローだったのに。
それももう1枚の紙切れを見て泡沫であったことを悟る
書面に記されているのは商品名のない【領収書】という文字と莫大な金額の羅列だった
｢…案外冷静ですね？｣
『…まぁ元々そんな美味い話がある訳無いとは思っていたので』
｢矢張り貴方は賢い人ですね。だからこそ厄介ですけれども…さぁ、着きました。｣
停車し降りたったその場はどう見ても堅気での暮らしなんて出来るはずもない。
真っ黒なコンクリートで冷え海とコンテナに囲まれた倉庫のような場所だった
『随分と御趣味の良いお部屋ですね。それに…知らない方も居らっしゃるみたいですし？』
｢ふふ、そうですね。きっと私のお嫁さんのAさんなら気に入りますよ｣
態と嫌味のような言い回しをしても最早
彼には何も刺さらずクスクスと笑みで躱される
こんな場所に連れてくるんであれば最初から気絶でも何でもして知らない間に全部済ませてくれれば良かったのに。
そしたらこんな思いしなくて済んだのに
｢Aさん勘違いしないで下さいね。私は決して貴方の事が嫌いだからとか、組の利益の為に貴方を生涯のパートナーにした訳ではありません。むしろ貴方の事は好いていますし｣
『そうですか』
｢ええ、ですがきっとこれから素敵な人生を送る事が出来ると思います。少なくとも、私と居るよりは。｣
今度こそ幸せになって下さいお祈りしています、と他人事のように囁かれ最後に優しく抱き締められた。
目の前に見知らぬ男が数人来ると腕を離しまたにっこりと笑った
｢ご無沙汰ですね一ノ瀬さん。｣
｢お早いですね。此方こそ今回は良い"買い物"をありがとうございました。…Aさん、此方がこれから貴方が堅気でお世話になる方です。｣
軽く目の前で行われる遣り取りを見て虚しくなる。何が嫁だ。
これは"人身売買"の現場で、私は"売られた"のだろうから。先程の領収書もつまりそういうこと、一ノ瀬さんが売人で、目の前の男が私を買い取った。ただ、それだけの話
私の命は紙切れ一枚より軽いんだ。
『宜しくお願いしますね』
笑え、誰よりも綺麗に。
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ふ菓子ちゃん - 神……とてつもなく神作だった……完結おめでとうございます！めさんこ大好きです！これからも陰ながら応援しております (2020年11月11日 20時) (
レス) id: 73bbb4d5f8 (このIDを非表示/違反報告)
まつり - 完結おめでとうございます！極道モノとオチナシが大好きなので、神作品だと思いますほんとうに！！めちゃめちゃ大好きです！これからも応援しています！！ (2020年3月26日 16時) (レス) id: 9861bf3927 (このIDを非表示/違反報告)
おたま(プロフ) - イノマ。さん» コメントありがとうございます！これからもまた別の作品でお会いできたら幸いです！ (2020年3月2日 23時) (レス) id: 1692a09b95 (このIDを非表示/違反報告)
おたま(プロフ) - いぶさん» コメント頂き本当にありがとうございます。いぶさんにとって最高の小説になれたこと光栄に思います。ありがとうございました (2020年3月2日 23時) (レス) id: 1692a09b95 (このIDを非表示/違反報告)
おたま(プロフ) - OTONEKO♪96さん» そう言って頂けて幸いです。最後まで読んでくださりありがとうございました！ (2020年3月2日 23時) (レス) id: 1692a09b95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：団子侍
x他1人 | 作成日時：2020年1月9日 0時
